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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
始まりの文芸部
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3話 ノベルじゃダメですか?

 放課後の文芸部。3人の部員がそれぞれの席につき、それぞれが本を読んでいた。


 そこに昨日ほどの気まずい空気は流れていなかった。




 僕はふと疑問に思ったことを口にする。


「そういえば、普通の小説とライトノベルの違いってなんなんですか?」


「そう聞かれてみれば知らないわね。ゆかり、何か知ってる?」


 弥久(みく)は目線を本へ落としたまま問いかける。



「まあ、知ってると言えば知ってるのかもしれないな」


 随分とあいまいな返事だ。


皆越(みなこし)先輩知ってるのだったら教えてくださいよ」


「2人はどこが違うと思うんだ?」


 その問いかけに思考を巡らせてみる。


 まず思い立ったのが大きさだろうか。しかしよく思い出してみると、新書サイズのラノベや、文庫サイズのノベルもあるのでそれは違うことになるだろう。


 すると他は……、そういえば大きく違う点があったのを思い出した。



「分かりました。かわいい女の子の絵が描かれているか否かじゃないですか?」


「半分正解だ。弥久はどうだ?」


「あたしもそれだと思たんだけど…… 違いって結構あいまいなのね」


「ほう、それに気づいたか。実は明確に定義があるわけではないのだよ」


「つまり、どういうことなの?」


「そうだな、簡単に言ってしまえば人がそれをライトノベルだと言えばそれはライトノベルなんだ」


「えっ、そんな感じなんですか?」


「まあ多少分け方に違いがあったりはするが、大体はあっているな」



 ここで再び疑問に思った。


「じゃあですよ。【我輩は猫である】とかもラノベと思えばラノベってことですか?」


「君がそう思えばそういうことになるな。まあ、猫の日常を書いたストーリだからな。そういったラノベもありそうではあるが」




「それにしても、この表紙絵が邪魔よね」


 弥久がそう言って、すぐに皆越先輩が反論する。


「何言ってるんだ、そこが良いところじゃないか!それを見てどれを買うか悩むのも楽しみの1つだろう」



 確かに、どちらの意見にも賛同できる。


 外で読むには邪魔になるという反面、その表紙があると嬉しくもあるのだ。



「邪魔とまでは言いませんけど、ブックカバーつけて読んでいる人多いですよね」


「私は、読んでるってバレたらもう学校行けない……」


 僕も教室でカバーなしで読むのは、(はばか)られるな。



「それじゃあ、どうすれば安心してラノベを読めるか考えてみないか?」


「私それ気になるかも」


「僕も賛成です」


 もし、良い方法が見つかれば、先輩からオススメされた本の消化も早く進むだろう。



「と言っても難しいわよ。カバーで表紙は隠せたとしても挿絵もあるし。その……挿絵はちょっとエッチなシーンが多かったりするし……」


「塗りつぶす、というわけにもいかないしな……」



 そもそも何で、ただ本を読んでるだけで奇異の目を向けられなければならないんだ?


「あの、思ったんですけど……」


「どうしたんだ?泰君」


「環境が間違ってると思うんです」


「あんた何言ってんの?」


 弥久が哀れむようにジト目を向けてくる。


「ほら、本っていうものは本来もっと崇高なものなんですよ。だからどんなジャンルを読んでいようと、あんな目で見られる必要なんてないんですよ。校門の二宮金次郎だって読んでるのはきっと僕らと同じラノベなんですよ!」



『………………』


「あの、先輩方……そんな悲しい目で見つめないでください……」



 こんな僕がいたたまれなく思ったのか、皆越先輩が口を開く。


「最後の方はともかく……読んでいてあーだ、こーだ周りから言われるのは間違っているのかも知れないな」


「そんな感じです」


「ならば全校生徒を皆こちら側の人間に引き込むのはどうだ?」


 周りが全員読んでいれば、抵抗感も無くなるだろう。そうすれば、堂々とラノベを読むことができる。



「確かにそうね。で、どうやってそれを実現するっていうの?」


 肝心なことを忘れていた。


 全校生徒に理解をしてもらうのは容易なことではないということに。


 それもそうだ。もし簡単なら、こんな事で悩んだりしないだろう。



「いやいやいや、できないことではないでしょ。目標をいきなり全員とするから難しく感じるんです。まずは少人数から輪を広げていけばきっと……」


「それって今部活でやっている事と何か違いはある?」




 ラノベを気兼ねなく読める未来は遠そうだった。



 今日も文芸部の日常は平和に流れていく。

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