37話 クラスの出し物を手伝わなくちゃダメですか?
文化祭準備期間のとある日。
弥久先輩と僕は無言で読書をしていた。
文芸部として特に準備することもなければ、2人で何か話すこともなかったからだ。
そんな中、先に話しかけてきたのは弥久先輩だった。
「泰はクラスの方行かなくても良いの?ここは私が居るから別に行ってきても良いよ」
先輩は気遣いをしたのかもしれないが、逆に僕の心を抉ってくる。
「あ、いや……僕は良いんですよ」
僕の言葉から察したのか、弥久先輩は哀れみの視線を向けてくる。
そんな、優しい目で見られるとなんだが自分が惨めだ。
「なんかごめんね」
「謝らないでもらえませんかね」
なんだが僕をいじめる為にわざとやっているようなきがしてきた。
そんな酷いことをする人が同じ部員だとは思いたくはないが、先輩ならやりかねない。
「先輩はどんな出し物するんですか?」
早くこの話題から抜け出したかった僕は、無理やり話題を変える。
「えっ、私!私はその、喫茶店かな……」
さっきまでとは違い、か細い声答える先輩。
確かコーヒーハウスでバイトしていたことを思い出す。
「先輩カフェとか好きですもんね。経験とかもありますし、活躍できそうですね」
「経験とか無いし!!それに私、店員とかも断ったから!!」
やけに必死に否定する先輩。
「でも、先輩外見も良いんですし人気出ると思いますよ」
弥久先輩は皆越先輩のように綺麗系ということでは無いが、顔立ちも整っていて身長は平均くらいだがスタイルは良い方だ。
そんな先輩が店員なら、その喫茶店は大繁盛間違いなしだろう。
「そっ、そんなこと言われても私はやらないからね!」
バイトで普通にやっていたことのはずなのになんでここまでやりたくないのだろうかと思った。
クラスの、いや学校の人に見られるのがそんなに嫌なのだろうか。
どうであれ、僕にそれを知る術はないのだが。
弥久先輩はスマホを確認している。
「あ、私ちょっとクラスの方で呼ばれたから、泰こっちの方お願いね。もう少しでゆかり来ると思うからとりあえずそれまでは」
そう言い残すと僕の返事を待たずに部室を出て行った。
「(なんだが、1人だと寂しい……)」
やっぱり、クラスの方に混ざればよかったかとも思うが今更遅い。
クラスに仲の良い友達が居ないわけではないのだが、やっぱり面倒くさいと思ってしまった。
現実から逃避するべく、開いたラノベは奇しくも文化祭の真っ只中だった。
なんだが文化祭を嫌いになりそうだ。




