34話 原稿を上げなきゃダメですか?
テストが終われば2週間後には文化祭が迫っている。
ついでに言うと明日が文化祭用小説の締め切り日だった。
実は、まだ完成してなくて焦っているところだ。
別にさぼっていたとか、そういうわけではない。
むしろ計画的に進めていた方だろう。
その証拠に、9割型完成している。
では何をそんなに迷っているかと言うと、どうもラストのシーンがしっくりこないのだ。
家で考えていても何か思いつくことができないと思って外に出た。
他の人の意見を聞きたいのもあって最近気に入っている、弥久に連れて行ってもらったカフェで待ち合わせをすることにした。
しばらく歩いて目的地へたどり着く。
ログハウス風の如何にもカフェといったお洒落な外観の建物だ。
今まで気にしたことはなかったが看板がかかっており、それを見るに【コーヒーハウス】という名前らしい。
その店名を聞くと17世紀ごろのイギリスを思い出す。
確か社交場としての役割を果たしていたのではなかっただろうか。
いつものように心地よいカウベルの音を店内に響かせ、扉を開けた。
中には僕が呼んだ人がすでに来ていて、こちらに気付くと自分の存在を知らせるように手を振っている。
僕も手を軽く上げることでそれに応える。
「やあ、泰。呼んでくれて嬉しいよ」
「来てくれてありがとう、エド」
そう、僕が呼んだのはエドだ。
一時期は僕が一方的に苦手意識を持っていたが、遊園地の一軒があってからは定期的にLINEで連絡を取り合うくらいの中にはなっている。
その甲斐あってか、今では割と打ち解けた感じで話すようになったのだ。
「それで私に相談ていうのは何ですか?」
「そうそう、文化祭で出す小説のことなんだけど」
「へー小説書くんですね。どういう感じなんですか」
聞かれたからには、答えないといけない。
そもそも僕がわざわざ呼んでお願いしているのだ。
僕はカバンから原稿をプリントアウトした用紙が入っているクリアファイルを渡す。
エドは、それを受け取ると、まずパラパラとページをめくった後に最初からじっくり読みだした。
その間、マスターが出してくれたコーヒーの香りと味を楽しんだ。




