25話 神社に行っちゃダメですか?
周りを田んぼに囲まれた道を3人並んで歩いていた。
田舎道というのはこういうところなのだろう。田んぼの用水路では小学生くらいの子供たちがタニシを捕まえて遊んでいた。
「もうすぐ着くわよ」
現在地は学校から十数分離れた場所だ。
弥久先輩が通っていた小学校の近くの神社だそうだ。
先輩とは家は近いみたいだが、校区がギリギリ違ったためこの場所は知らなかった。
しばらくすると鳥居が見えた。
石作りで日が当たらない方向には苔が生えている。
奥に階段が伸びており、その両端は木が生い茂っていた。
小さな神社といった感じだ。
「私ここが好きなんだ」
弥久先輩はここでない何処かを眺めて呟いた。
まるで感傷に浸っているような面持ちでただ立ち尽くしている。
幼いころの記憶でも思い出しているのだろうか?
「何か学校で嫌なことがあると、何時もここに来てたんだよね。ここに来れば心が落ち着くから」
弥久先は「こっちよ」と言わんばかりに、階段を上りだす。
僕と皆越先輩も後を追った。
階段を上がった先には社があった。
規模は大きくないながらも、祠というようなものではなく割としっかりとした建物だった。
「落ち込んで1人になりたい時に、ここはちょうどよかったの。学校の近くだけどほとんど人が来ない所だったし。それに1人だけど1人じゃないような気持になれるっていうか。見守ってくれてたのかもね」
ここにどんな神様が祭られているのかは知らない。
でもきっと弥久先輩を見守っていてくれた優しい神様なのだろう。
せっかくなので何か参考にできるものはないか観察してみる。
手水舎を見てみれば水はためられておらず、ここに訪れる人が少ないことを表していた。
かといって、枯れ葉などが溜まっているわけでもなく誰かしらは手入れをしているのだろう。
手を清めることは無理そうだったのであきらめて奥に向かう。
奥には本殿があった。
大きなスズにぶら下がった太い縄と、賽銭箱が置いてある。
一応スズを鳴らし手を叩いてお参りしておいた。
たまたま財布に五円玉があったので助かった。
「誰も来なさそうな割には整備されているみたいだし、綺麗だな」
「案外神様本人がきれいにしているのかもしれませんね」
「掃除でもしていこっか」
弥久先輩の一言で3人は落ち葉などを集め始めた。
耳を澄ませば木々のざわめきが聞こえる。
そう思ったのもつかの間、鼻先に冷たい感覚が走る。
木の葉が当たる音だと思ってたのはどうやら、雨音だったみたいだ。
周りを見渡しても、雨宿りできそうな場所はなかった。
神社の中を除いては。
「みんなこっちです」
止むに止まれぬ状況なら神様も許してくれるだろう。
『失礼する(します)』
とは言っても礼儀は忘れずに断りを入れておいた。
「今日は降らないって言ってたのにな」
「0%でしたもんね」
天気予報の精度がいくら上がってきたと言っても外れることもある。
突然降りだした雨はやむまでにもう少し掛かりそうだった。




