22話 伝えちゃったらダメですか?
ケーキ屋が定休日だったので僕たちはしぶしぶ帰ることになった。
弥久先輩は、どこか寄る場所があるとか言うと先に行ってしまった。
なので、僕と皆越先輩は2人きりといった状態だ。
辺りはもう暗くなり始めていた。
隣を見れば、薄暗闇に溶け込む先輩の色白い肌をした横顔が見える。
こちらの視線に気づいたようで、僕の顔を見ては「どうしたのか」と言わんばかりに小首をかしげてきた。
そのしぐさに思わず心を奪われる。
頭がボーっとして、まるで熱でもあるかのようになる。
恋煩いとはよく言ったものだ。
「ケーキが食べれなかったのは残念だったが、たまには外に出て運動らしいこともしないとな。体が鈍ってしまう」
視線を前に戻すとそんな事を言ってきた皆越先輩。
「まあ、みんなで散歩できたと思うとそれはそれで楽しかったとは思うのだがな」
「でも、次は食べれると良いですね。ケーキ」
「そうだな」
屈託無い顔で笑う先輩。
「先輩。相談したいことがあって」
後から思えば何でこんなことを言ってしまったのだろうと後悔するが、今はまだそれを知らない。
「なんだ?なんでも聞くぞ。助けになってやれるとは限らないがな」
「僕好きな人ができたみたいです」
「好きな人か!その話もっと詳しく聞かせてくれないか!」
途端に興味関心の意を示す先輩。
「その、最近その人のことばっかり考えちゃうんです」
「ふむふむ、それでそれで」
次を促してくる先輩。
「その人のことを考えると胸が苦しくなるというか、誰かと一緒にいるのとかを見ると嫉妬しちゃって……」
「なんだか初々しくいいな」
皆越先輩は微笑ましそうに、目を細める。
「(今更好きな相手が皆越先輩だなんていえないな……)」
「ちなみに同じクラスの人なのか?」
「同じクラスではないですね。年上の人なので」
僕は気づいてほしくないからこんな回りくどい方法を使っているはずなのに、自ら誘導するなど気づかれたくないのかどうなのかわからなくなる。
伝えたいけど、伝えた時に拒絶されるのが怖いのだ。
「もうこんなとこまで来ていたのか。それじゃあ私はこっちだから。また明日な!」
「あっ、はい。お疲れさまです」
これからどうしようかと悩みながら、家へ帰った。




