215話 ライトノベルじゃダメですか?
「これ、鬼頭さんから頼まれてたやつ」
バレンタインから数日たった放課後。
僕は瑠璃と一緒に帰っていた。
渡したのは、皆越先輩に印刷して貰ったプロット。
「ありがとうございます」
瑠璃は胸にそれを抱きしめる。
「瑠璃が、そんなこと頼まれてたなんて知らなかった」
「嫉妬ですか?」
瑠璃は口を尖らせて言う。
「そうかもな」
正直に答えると、更に機嫌が悪そうになった。
「泰はそういうところがダメなんですよ。だいたい、なんですかあの鬼頭ってやつ羨まけしからん」
一体どっちなんだよ。
「でも、泰のほうが信頼されてるじゃないですか」
「信頼って言うより、過大評価されてるように思えてね」
鬼頭さんから貰ったUSBの中を見た僕は、その中に入っていたことが自分にできるのか自信がなかった。
「それこそ、あれも瑠璃がやったほうが良かったんじゃなかったのかって」
「泰からそう言ってもらえるのは嬉しいですが、でもなんだかむかつきます。一発殴らせてください」
「え?」
瑠璃は言うなり、振りかぶって僕の頬を叩く。
「っつ……」
「鬼頭さんは、泰にしか出来ないと思って渡してるんですよ。悔しいですけど、私もそうだと思います。これで満足ですか?私と彼女にあなたしかいない、と言われて尚、出来ないっていうんですか?」
ぶたれた箇所がまだヒリヒリする。
それだけ、瑠璃の本気具合が伝わった。
その御蔭でやっとわかった気がする。
「ごめん瑠璃、やることが出来た」
僕は瑠璃を置き去りに走り出す。
これまでに無いくらい全力で、家に向かって。
「頑張ってくださーい!!」
後ろから聞こえてくる瑠璃の声で足により力が入る。
家に帰ると靴を脱ぐのももどかしく、つまずきながら自室に滑り込んだ。
そしてPCのの電源を入れる。
起動するなりUSBメモリを刺し、入っていたデータを読み込んだ。
表示されるのは、これまで鬼頭風香が皆越ゆかりと出会ってから歩んだ記録。
それが、小説として記してある。
出てくるのは、桜田弥久、進めば、僕と瑠璃もいる。
最後のページには書きかけとなっていてカギカッコの初めで終わっていた。
これは、僕のセリフから始めろと言う彼女のメッセージだろう。
USBメモリ内にこの小説意外のデータは入っていなかったのだがそれだけはわかる。
僕は、彼女の意思通りに少し考えるとセリフをタイプしだす。
その小説のタイトルは……
[ライトノベルじゃダメですか?]
最後までご愛読ありがとうございました。
あとがきを活動報告の方に載せておりますのでよろしければ御覧ください。




