203話 降部の危機じゃダメですか?
1月も中旬になれば、流石に皆越先輩は部室に来なくなった。
彼女も高校3年生で、受験なので当然といえば当然。
先輩なので他の理由かもしれないが、そもそも他の部活の3年生はすでに部活を引退しているので、彼女の方が異常だったのだ。
部室で開いた椅子を見るとなんだか寂しくなってしまう。
たった1年間のほぼ放課後だけと言っても、それだけの時間一緒に過ごしていたら僕の中でかなり大切な存在担っていた。
受験といえば、弥久先輩はどうするのだろうか。
「弥久先輩は、皆と同じくらいに部活引退するんですか」
皆と同じというのはだいたい夏ごろのこと。
「そうね、私はゆかりほど勉強できるわけじゃないし」
弥久先輩の志望校も多分皆越先輩と同じだったはずだ。
彼女の学力ならば十分狙える範囲だが、だからといって遊んでいて受かるような学校でもない。
そうと成れば、夏になれば部活は2人になってしまうのか……
「あ、言い忘れてたけど新入部員3人集めないと同好会に格下げで部室なくなるから」
え?
いや、もともと4人だったんだから2人じゃないのだろうか?
「先輩人数間違えてません?」
「あれ間違えてた?私さっき何人って言ってたっけ?まあ良いわ、3人よ」
言い直す先輩だったが答えは変わってない。
「2人じゃなくて?」
「ああ、言い忘れてたけど。うちの部はちょっと特殊な採用だったからね」
忘れてたけど、そう言えば皆越先輩はそういう人だった。
自分のためにルールを変えさせるような……
ということは、3人集めれなければこの本達は全部……
「ちなみに本は、全部図書館で保管されるから心配しなくて大丈夫よ。何なら持って帰ってもいいって言ってたし」
ならひとまず安心か。
「でも、部室がなくなるのは寂しいですね。なんとかしないと」
「泰諦めましょう」
やる前から弱気な瑠璃。
「どうして?まだやってもいないのに」
「部活、文芸部、ランキング、で検索したらわかりますよ」
僕は言われた通りに検索する。
「ね、分かったでしょ。全くヒットしないくらい不人気な部活なことは」
「いやでも、ほら、頑張って勧誘すれば」
「アニメや漫画で文芸部が賑わっているのは所詮まやかしなんですよ。ていうかそれですら賑わってなくて潰れかけのほうが多い気もしますし」
そう言われると、そういうイメージかも知れない。
「良いじゃないですか、場所が移るだけと考えれば」
「そうかも知れないけど……」
なんだか、嫌だった。
この部室を離れるのは。
でもこの時は、それが言い出せなかった。




