197話 皆越と観覧車じゃダメですか?3
僕は決めていた。
今日は、皆越先輩に自分の気持ちを伝えようと。
明日から始まる冬休み。
それもすぐ過ぎ去り、やがて先輩は卒業する。
卒業してしまえば、僕と先輩の接点は無くなり合うことも少なくなるだろう。
もしかしたら、合わなくなってしまうのかもしれない。
そんなのは嫌だった。
このゴンドラが頂点に上がった時、僕は先輩に告白をすると決意して息を飲む。
「綺麗だな」
言ったのは皆越先輩。
いつの間にか俯いていた顔を上げると先輩は僕の方とは反対の窓を見ていた。
僕も一緒になって見てみる。
そこには冬らしい青の光や所々に交じる温かい色の光がきらめいていた。
高さ的に離れているのだが、それでも眩しいと思えるくらいの輝き。
でも、そんなことよりも。
「綺麗だ……」
僕の視線は、微かに見える先輩の横顔に行ってしまう。
電飾の光に照らされた先輩。
こんなにも魅力的に映るなんてズルい。
「だな」
先輩は僕に相槌を打ってくれる。
(でもすみません、僕が言ったのは先輩のことなんです……)
皆越先輩はそのことに気づかず、イルミネーションのことだと思っているのだろう。
「私は泰君に会えてよかったと思ってるよ」
しばらく外を眺めていた皆越先輩は、こちらに顔を向けて来る。
僕は、先輩のことを今の今まで眺めていたので必死に外の方を見ていた風を装うが、無理があったかもしれない。
「僕も、皆越先輩にあえて本当に良かったです」
「本当かい?それは嬉しいな」
隣で笑う先輩。
僕は胸の奥から、感情という感情が溢れかえってくる感覚を覚える。
どうしたら良いのかわからない。
苦しくもあるのに、不思議と楽しくもある。
先輩は、僕の方に頭を乗せる。
僕の体温は体感で2度上がるのを感じた。
感覚が研ぎ澄まされて、先輩の体温や呼吸、脈まで感じ取れる。
もしかして僕の心臓の音もバレているのではないだろうか?
意識すると、更に早く大きくなってしまう。
「泰君は高いところは苦手なのかな」
皆越先輩がからかう。
でも、悪くない。
「先輩も苦手なんじゃないですか?伝わってますよ(心音が)」
「そうかもな」
嘘だ。
普段の心拍数を知っているわけではないが、先輩のそれは平常値程度。
少しからかい返して見たかったのだが、軽くあしらわれてしまった。




