194話 エドとお化け屋敷じゃダメですか?2
僕たちはあれから、多少時間がかかったものの、最後までたどり着くことができた。
僕は、なんだか新しい扉が開いたような気もするが、もうそれはそれでいいじゃん。
と楽観視している。
悩んだってどうしようもないし。
「ふぅ、やっと出れましたね」
エドの方は恐怖に耐えるのが精一杯だったみたいで、さっきのことは特に気にしていない様子。
時間が掛かったと言っても、スムーズに入場できたので少しだけ時間ができてしまった。
かと言って、もう一箇所アトラクションに行けるほどでも無いので近くのベンチで適当に時間をつぶす事になった。
「瑠璃の時はありがとな」
エドのことだ、きっと皆を誘導してくれたのだと思う。
世の中そんなに都合よくなっていないことは、これまでの10数年だけでも十分に理解している。
「いえ、僕は何もしてないですよ」
エドはさっきまでとは違いいつものエドに戻って答える。
あくまでも何もしていないというスタンスを貫くつもりなのだろう。
ならば僕からそれ以上何も言うこともない。
「そうか、でもありがとな」
最後にも1度だけそう言うとエドは、はにかむように笑った。
「そうだ、思い出しました」
僕がもうそろそろ時間だなと、時計を見ていた時。
集合場所に行こうかと言おうとする前に、エドが語りかけてきた。
「ここのイルミネーション、観覧車から見ると綺麗なんですよ」
大きな観覧車を指差しながら言う。
見上げてみれば空は赤と青と黒を混ぜたような幻想的な色を醸し出していた。
こういうのをマジックアワーって言うのだろう。
僕が眺めているとちょうど電飾が区画ごとにパラパラと点灯していく。
「それってどこ情報?」
別に聞いた意味など無い。
気になったわけでもない。
「気づいているんじゃないですか?真由美さんですよ」
「やっぱりな」
そうじゃないかと思っていた。
今日は彼女に遊ばれているな……
「冗談です。本当は私情報ですよ」
僕を騙せたことを楽しそうに笑うエド。
それを見て僕もなんだかおかしくて笑ってしまう。
「そうか……」
「はい、そうです。泰も1日中お化け屋敷じゃ退屈でしょうからね。私の粋な心遣いです。それと……いえ、これを言うのは無粋ですね」
エドは知っているのかもしれないし、知らないのかもしれない。
でも割とそんなことはどうでも良かった。
もう決めたことだから。
話しているうちに時間が過ぎていた。
「泰!急がないと皆まってますよ」
エドが駆け出す。
少し進んで振り返ってきた。
彼が伸ばす手をタッチして僕は追い抜く。
エドも後ろから追っかけてきた。
少し横目で振り返ってみると、彼はなんだか楽しそうだった。




