192話 池田とお化け屋敷じゃダメですか?2
今僕は遊園地を今日はじめて遊園地を最高に楽しめている気がする。
「雪本さんは知っていらっしゃいますか?ラフカディオ・ハーン、日本名で小泉八雲は子供の頃スポーツで片目を怪我して失明しているんですよ」
「いいえ、初耳です」
僕はふと彼の顔を思い出してみる。
ぼんやりと浮かぶそれは、たしかに左目がを隠すように左向きの写真ばかりだったような気がした。
「支配人らしき人が眼帯をしていたのは、そういう意図があるのかもしれませんね」
今までそこまで気にしている暇もなかったのもあるが、こうして説明してもらえると興味が湧いてきて面白い。
「そうです、そうです。さっきあったのなんて百物語に出てくる怪異をモチーフにしたものですよ」
先生はさすがは国語の先生といった具合に、わかりやすく簡潔に怪談のあらすじを説明してくれた。
「へー、そんな話がモデルになってたんですね」
「そうなんですよ。どうですか?背景などを気にして見てみるとまた違った見え方があるでしょう」
確かに、今まで何度も通ってきた通路がまた違って見えて新鮮だ。
「でも、これお化け屋敷を見るテンションでは無いですよね……」
「……いえ、来る前に調べてたのですが意外とそういう目的の方もいるみたいですよ」
先生はそう言うものの目は僕と合わせてくれない。
なにか後ろめたいことがあるかのようだった。
僕はおもむろにスマホを取り出すと、このお化け屋敷の名前を検索にかけてみる。
そしてすぐに、レビューサイトを見つけた。
それによれば評価は3辺りが殆どを締めている。
コメントも悪くは無いが、ぱっとしない感じと辛口な意見ばかりだ。
その中で1つ、星5の評価をつけている人物がいた。
運良くコメントも書いていたので呼んでみると、さっき先生が言っていたような感じで、お化け屋敷以外の楽しみ方もできてよかったと書いてある。
「もしかして先生が見たのってこれですか?」
先生は一瞬画面を見てすぐそっぽを向いた。
頬を伝った汗が顎から滴っているのが、薄暗闇の中見える。
これを見たんだろうな、先生……
確かに沢山居たとは言ってないけど。
他にも書き込んでいる人は居ないか探してみたのだが、その1件だけだった。
後、その時に気づいたこともある。
さっきのレビューを書いた人物、そのIDだが僕には心当たりがある。
そのIDというのも「mayumayuyumiyumi」と書かれていた。
これまでのことも含めて考えるとこれを仕組んだのは真由美先輩にしか思えない。
結局僕はまた先輩にはめられていたのだ。
後であったら溶けかけのソフトクリームをコケるふりして顔面に打ち込んでやろうと決意した。
まあ、でも、先生と回るのは楽しいのも事実なので少し位手加減をしてやっても良いかもしれない。
「雪本さんどうかされましたか?」
ずっと1人で考え込んで居たせいで先生が心配したのだろう。
「いえ、先に進みましょうか」
僕はこの時、今日はじめて遊園地を楽しめたのだった。




