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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
さよなら、さよなら
191/216

190話 真由美とお化け屋敷じゃダメですか?2

 もう親の顔よりも見たお化け屋敷内。


 それは流石に言い過ぎました。


 でも言いたくなるほどこの短時間で見慣れた景色となったのも事実。


「泰はさ……」


 そんな中アトラクションにそれほど興味を示さない様子の真由美先輩が話しかけてきた。


「どうかしましたか?」


「1つ聞きたいことがあるんだけど、弥久のことどう思ってる」


「え?いや……」


 僕はすぐに答えを出せなかったことを後悔することになる。


「なるほどね」


 先輩は何が分かったのか知らないが、良くないことだけはわかる。


「……良い先輩だと思ってますよ」


(ジーー)


 真由美先輩は僕の瞳の奥を見つめてくる。


 暗くてよくわからないのだが、だからこそ先輩の息遣いまで聞こえてきて……


「なら何で私が聞いたとき回答を躊躇ったの?」


 痛いところをついてくる。


「それは……」


 僕は答えられない。


 弥久先輩のことをどう思っているかなんて自分でもわからなくなる。


「弥久があんな感じだからって君までそんなあやふやなのは、どうかと思うな」


 ごもっともな意見。


 だからこそ、僕へのダメージが大きかった。


「ありゃ?言いすぎちゃった?そうだよね自分でも気づいているよね」


 真由美先輩はいつものおちゃらけた雰囲気が少しだけ戻った笑顔で言う。


 しかし、それも少しの間だけ。


「でもね、それじゃあダメだよ。弥久は私の大切な友達だから、彼女のためになるならと思って言ってるとこもあるけれど、それだけじゃない。これは、君のためにもなるんだ。今のまま、ズルズルと過ごしても何も良い結果を産まない」


 言っていることはわかる。


 それはわかるのだが、僕にはできない。


 人は常に最善手を取ることはできない。


 明らかに悪手だと知っていてなお、そっちの道に進んでしまうこともある。


 今の僕のように。


「ほら、いっそのことどうかな?この機会に2人くっ付いちゃいなよ。弥久は良いよ。ああ見えて意外と面倒見良いし、弥久が作るハンバーグも美味しい。きっと良いお嫁さんになると思うけどな」


 彼女はふざけているようには見えない。


 至って真剣そのもの。


「でも弥久先輩は……」


(それを望んでいるのだろうか?)


 答えを知ってしまっているからこそ、逃げている。


 今もなお逃げ続けているのだ。


「泰君」


 その時の真由美先輩の声は感情がこもっていないような冷たさを感じた。


「私は君自身の話をしてるんだよ」


「僕の話し……」


「そう!」


 僕はどうすれば……


 どうせ無くなってしまうものなら、消えるまで掴んでいたい。


 例え今掴んでいるものがすでに虚像となってしまっていても、それが偽物だと気づくまでは。


 いいや、気づいてしまっっても自分を騙し続けれるまでは、ずっと。


 でも、そのままではダメだと先輩は言っているのだろう。


 そのことは分かってるのだ……


「もう少し、後少しだけ考えても良いですか?」


 僕はうつむいたまま、つぶやくように告げる。


 顔をあげるのが怖かった。


「それを私に聞くの?まあ、そう言うんじゃないかと思ってあまり期待はしてなかったけどね」


 がっかりした声。


 むしろ感情的に怒鳴ってくれたほうが良かった。


 そのほうが、楽だから。


 でも、その選択肢を取るということはそういうことなのかもしれない。


 自らそこのない沼と知っていながら入っていくような、そんな馬鹿げたことなのかもしれない。



「ところでさ?弥久が泰にキスしたってホント?」


 さっきのシリアスをぶち壊すような、興味本位なテンションで言う先輩。


「何で知ってるんですか……」


 もしかして弥久先輩はあの写真を皆に?


「ふむ、やっぱりそうだったのか。いやね、瑠璃ちゃんがソワソワしているのと弥久が唇を指でなぞってるのでピーンときてね。それで君に聞いてみたらやっぱりビンゴ。そうでしょ?」


 カマをかけられたってことか……


「からかいがいのある後輩だなぁ〜」


 真由美先輩はカラカラと笑う。



 気がつけばもう出口まで来ていた。


 そう言えばさっき写真も取られてたな、なんて思う。


「やっぱり、弥久じゃダメ?」


 最後の希望を載せるように聞いてくる。


「……わかりません」


「全く、男のくせにズルい答え方だなぁ」


「先輩に言われたくないです」


「そうかもね。何ら私達付き合っちゃう。こんなだから意外と相性合うかも」


「良いかもしれませんね」


「え?」


「え?」


 何?「え?」って何?


 そして先輩は何で顔を赤らめてるの?


「冗談ですよ……?」


 僕は慌ててそう言った。


「わ、私も冗談だけど……」


 何この気まずい空気は。


 この後、2人して何も話さなくなるのが更にそれを助長させる。


 結局、この雰囲気を漂わせたまま皆のもとに合流したのだった。

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