18話 遊園地に行ったらダメですか?
遊園地のチケットを持ち帰ってしまった次の日。
僕はどういうわけだかエドと世界的なネズミの居るあのテーマパークに来ていた。
時を遡ること約1時間……
持って帰ったは良いものの、さすがに人の物なので僕は罪悪感に苛まれていた。
そんな沼から抜け出すためにどうしたかと言うと、簡単だ。エドをとある場所に呼び出していたのだ。
これは、遊園地に誘っているのではない。忘れていたチケットを届けるためだと自分に言い聞かせながら。
「泰君から誘ってくれるなんて嬉しいですね」
そんな、のんきなことを言いながらエドは現れた。
「だから、忘れていったのを渡しに来ただけですから」
「なるほど。これが、いつもゆかりの言ってるツンデレというやつですね。勉強になります」
「断じて違いますから!」
なんだか調子が狂ってしまう。さっさとチケットを渡して帰ろうと口を開く。
しかし、聞く耳持たずといった感じで「では行きましょう」と言うと歩き出していた。
まだチケットを渡せていない僕には追いかける以外の選択肢はなかった。
「来てしまった・・・・・・」
結局なんだかんだ、なし崩し的に園の中まで来てしまった。
「さて何から乗りましょうか?泰君!」
なんだかテンションが高いエド。初めて遊園地につれてきた子供みたいだ。
「なんか楽しそうですね」
「楽しいですよ。あまり友達とこんなところに来る機会なんてなかったので」
「はぁ……まあ、もう中に入っちゃいましたしね。今日1日は付き合いますよ」
「ありがとね泰君」
もう1度ため息をつく。これが美少女とのデートだったらどんなにいいことか。
「それじゃあ、ジェットコースターってやつに乗っても良いですか?」
入場ゲートでもらったマップを広げてみる。ジェットコースターは入り口から最も離れた場所にあるみたいだった。
「それならこっちの方ですね」
「へぇ、泰君って頼りになりますね」
そう言われて悪い気はしなかった。いやいや来てしまった遊園地だったが……
「(まあ、楽しんでみるか)」
とりあえず嫌なことを考えないことから始めた。
「大丈夫ですか?」
そう言って優しくペットボトルの水を差しだしてくれるエド。
その日本人離れした整った顔立ちは、心配げな表情を浮かべていた。
僕は今ジェットコースター最寄りのベンチに座っていた。
「うぅ……」
「苦手なら苦手と言ってくれたら良かったのに」
そう、嫌なことを忘れて苦手な絶叫系アトラクションに乗った結果、胃の内容物がジェットコースターしていた。
「でもジェットコースター苦手だったんですね。あんなに楽しいのに」
「僕にはその楽しさはみじんもわからないけどね。何なら恐怖でしかないし」
いくら安全性が保障されていたところで、あの地面が迫ってくる感覚はどうもなれない。
昔父親に無理やり乗せられた時のトラウマもよみがえってくる。
「へぇ、泰君に昔そんなことが」
「ああ、泣きじゃくってるのに無理やり乗せた父親は鬼だった。しかも乗せた当の本人は降りた後、憔悴しきった僕を見て笑ってやがった」
「あはははは(棒)」
愛想笑いで乗り切るエドだった。
「少し休んだら大分楽になったし次行くか。次はなるべくゆっくりしたところで……」
「そうですね。メリーゴーランドとかですか?」
「そこなら大丈夫そうかな」
ベンチから立ち上がると2人はメリーゴーランドへ向かった。




