187話 瑠璃とお化け屋敷じゃダメですか?
もう流れ作業かのように、ペアが交代される。
4番目は瑠璃だった。
「むふぅー」
瑠璃は口で不満さをアピールしてくる程度には不機嫌だった。
「何がそんなに気に入らないんだよ」
瑠璃は待ってたと言わんばかりに語りだす。
「何が?そんなの決まってるじゃないですか!」
一方的に決まってると言われても正直わからん。
僕はジェスチャで答える。
「じゃあ、教えますよ。何で私が1番目でも最後でもなく4番目何ですか!!」
ここで少し思い出してほしい。
瑠璃はくじを引くときズルをしようとした。
8と書かれていた棒に予め印を入れておきそれを自分で引こうとしていたのだ。
「自業自得じゃないのか」
「うっ……でも1番最初くらい一緒に回れても良いじゃないですか!!」
前にも言ったが、1番最初のペアは僕と僕の1人だった。
これは瑠璃のアンポンタンが8本もくじを用意してしまったからだ。
むしろ被害者はこの僕だ。
「それも自業自得じゃないのか」
「…………」
瑠璃は正論に砕かれる。
「そ、そんなことより早く行きましょう時間がもったいないです」
誤魔化すように、僕を引っ張る瑠璃。
行く末は案の定、例のアトラクションだった。
抵抗はしていないのにグイグイ引っ張る瑠璃に連れられて、お化け屋敷に来た。
「何ですか、これ……」
絶望する瑠璃の前にあるのは、お化け屋敷前に広がる長蛇の列。
ここはディズニーかよってくらい並んでる。
「諦めたらどうだ?他のアトラクションでも……」
「嫌ですっ」
「って言っても……」
このままだと時間だけが無駄になって終わってしまう。
どうしたものかと考えていると、あることに気がつく。
「あの列って隣のトイレに並んでるんじゃないか」
「隣の、なんです?トトロ?」
そんなお化け嫌だ……
「取り入れだよ……ほら。よく見れば看板があるな」
近づいて見てみると故障で少しの間使えなくて並んでいるらしい。
それなら、お化け屋敷は大丈夫かもしれないと、そっちの方の列を探す。
見つけた最後尾にには待ち時間15分の文字があった。
「少し微妙な時間だな」
15分。それから中を回る時間もあるので25分程度を見ていないといけないだろう。
交代で回っている中で、そんなに時間を取ってしまうと後々に響く。
僕は、エドにLINEを送ってみた。
すぐに既読が付き、返信が来る。
[こっちもちょうど、アトラクションの待ち時間があるからどうしようかって相談してたから構いませんよ]
そんなふうに書かれていた。
僕はそれを瑠璃に見せる。
「だってよ」
「ありがとうございます。ゆたかぁ!」
スマホの画面を瑠璃に向けていた方から元の僕の方に戻す。
そしてまたスマホが震えた。
[泰は瑠璃さんには優しいのですね]
自覚はしていなかったが、そうなのかもしれない。
そして、理由はわからないがこのメッセージが瑠璃に間一髪見られなくてよかったと思った。




