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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
さよなら、さよなら
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186話 弥久とお化け屋敷じゃダメですか?2

 係員の痛い視線を受けながら入場を済ませ、もともと苦手でないのと慣れたせいで全く恐怖を感じなくなった施設内を歩く。


 今更になるのか、3回目だからこそなのかよくわからないが、このお化け屋敷の怖さを上中下で表した場合は中に位置すると思う。


 全く怖くなくは無いが、こういうのが得意な人ならば余裕がある程度。


 しかし、かなり苦手な人からしてみれば結構きついものがある。


 そんなレベルのお化け屋敷だ。


 それを踏まえて弥久先輩を見てみると、ビビってはいないようだった。


「先輩は怖くないんですか?」


「怖くn、あ……めっちゃ怖いから」


 先輩今、怖くないって言いかけたよな……


 弥久先輩は、ギリギリ言いとどまって怖いと言ったのだが、そんな素振りは見せない。


 どちらかと言えば、言い間違えてしまった事により焦っている様子だ。


「いや、まあ。特別言及はしませんが、せめて怖そうにしたらどうです?」


 あまりにも平気そうだったので僕はそんなことを口走る。


 その時歩いていたのはちょうど、上から包帯ぐるぐる巻の人形が落ちてくる地点。


 流石に覚えてしまったその場所から、予想通り気味の悪い物体が落ちてくる。


「きゃーーーっ!!」


 弥久先輩が、隣で悲鳴を上げる。


 僕は人形ではなくそれに驚いてしまった。


 もしかしたら本当に怖がりなのかもしれない。


 僕がそう思ったとき、


「こんな感じかしら?」


 さっきあれだけ悲鳴をあげていたとは思えないほどの澄まし顔で聞いてくる先輩が居た。


「は?え?」


 僕は混乱を自覚する。


「えっと、そうですね。聞いてこなかったら騙せてた、かも?」


 もしかして、弥久先輩って今まで知らなかったけど天然?


 日数で言えばかなり一緒に過ごしては来たが、だからといってそれほど多くの時間過ごしてきたわけではない。


 殆どが部活の時間だったのだ。


 普段、授業もあれば私生活だってある。


 だいたい、部活中でも殆どは各自で過ごしているので話している時間などを見ればもっと少なくなるのだ。


 ならば、まだ見ない先輩の姿があっても不思議では無いかもしれない。



 手に何かがあたった感触が伝わる。


 こんな仕掛けあっただろうかと思い、目を落とすとそこには必死に背伸びする小指。


 弥久先輩の小さく綺麗な手だ。


 僕はそれがいじらしく思えたが、自分から取ることなんてできない。


 だってそれをしてしまったら……


 代わりに、靴紐が(ほど)けたふりをしてしゃがみこんだ。


 それがわざとだと分かっていた弥久先輩は不機嫌そうにする。


 そのおかげと言ってはなんだが、それ以降僕の手に触れるものはなかった。



 出口付近で最後の驚かして来るポイント。


 僕は覚悟を決めるというよりかは、またあれが来るのかとなんとなく思い浮かべる。


 そして、その時が来た。


 幽霊の格好をした係員が、物陰から飛び出してくる。


 流石に多少びっくりするが、それ以上でも以下でもない。


 驚かされた後はその瞬間を待ち構えていたカメラマンが撮影する。


 良くジェットコースターとかである、お化け屋敷版といったところだろう。


 フラッシュが焚かれ撮影される。


 暗闇に目が慣れていたので眩しい。


 なんならこっちのほうが驚いてしまうかもしれない。


「先輩、光大丈夫でしたか?」


 先輩は眩しかったのかしきりにうつむいている。


 仕方ないので僕は先輩の腕を引いて外に出た。



「お写真の方はこちらになりますが」


「買います!!」


 さっき撮影された写真がモニターに表示されるのを待たず、食い気味で答える先輩。


 遅れて表示された写真を見るとその意味を悟る。


 フラッシュの刺激で良く分かっていなかったのだが、あの瞬間どうやら先輩がほっぺに口づけしていたらしい。


 完全にしてやられた。


「あの、先輩……」


「…………」


 先輩は黙ったまま。


 やがて写真の購入を済ませると、その場からダッシュで逃げていった。


「あの写真、皆越先輩と瑠璃には見られたくない……」


 皆越先輩には単純な理由で見られたく無いのだが、瑠璃に見られると大変めんどくさそうだから見られたくない。


 僕は、後で口止め料を払うまで誰にも話されないことを願うしかなかった。

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