181話 遅刻しちゃダメですか?
遊園地に行く当日の朝。
メンバーは集合場所にぼちぼちと集まっていた。
今来ているのが、僕と皆越先輩、弥久先輩。あと僕が呼んだ、エド、真由美。
誘っていないのに嗅ぎつけて、顧問という理由でついてきた池田先生もいる。
何かあったら誰が責任取るんですか。とか屁理屈を言っていたが、そもそも高校生なんだしそこは自己責任で通ると思う。
学校の行事でもなくプライベートでどこに行こうが勝手だろう。
先生もそんなこと位分かっていると思うので、単純に遊園地に行きたかったのだろうと思う。
理由はわからないけど。
先生を含まない人数が7人でチケットが1枚余っていたので仕方なく受け入れた。
誰か呼んで断ることも考えたのだが、他に呼べる人が思い浮かばなかったのがつらい。
「ところで先生は、今日用事なかったんですか?」
先生が気に入らなかったので少しいじめるような質問をする。
今日は12月の25日なので、1人身でないのなら予定があって然るべきだ。
それでも今日来ているということは、つまりそういうことなのだろう。
「え?どうしてですか?」
しかし帰ってたのは、何でそんなことを聞くのかよく分かってないような返事。
「えっ、だって今日はクリスマスですよ。その、先生もなんと言いますか……」
自分から言っておいて、口ごもってしまう。
「ああ、なるほど。私は本が恋人ですからね〜」
あー、うん。聞いた僕が間違っていた。
そんなことを離している間に、最後の2人が来た。
「すいませ〜ん。寝坊しました〜」
加藤の手を引っ張りながら走ってくる瑠璃。
引っ張られているというより引きずられているのだが、その加藤は息を切らしながらバテている。
「はぁ、はぁ。す、すみません。遅れて、」
「ごめんなさい。目覚ましがですね……」
「電池切れで止まっていたのか?」
まあそれは災難だったな。
学校の日ではなかったのが救いなのかどうなのか。
「いえ、なったんですが、蹴飛ばしていたみたいで壊しちゃって。5分後になると思って2度寝したら、時間がすぎてました」
うん、これは弁解の余地なく瑠璃が悪い。
「まあ良いよ、どうせ瑠璃だし」
「え⁉何ですかその何も期待してないと言うような目は⁉」
よく分かったなその通りだよ。
僕と瑠璃が話しているとエドが入ってきた。
「えっと、その。突然割り込んで悪いとは思ってますけど。その」
煮え切らない感じのエド。
それほど言いにくいことがあるのだろうか。
何も遠慮する仲でも無いと思うのだが。
「別にそんな躊躇わなくても良いと思うけど」
「そう、だよね。えっとこれ」
見せてきたのは、スマホのロック画面。
画像は、どっかの教会っぽい。
あーやっぱおしゃれなんだな−と思いながら眺めていると、当然ながら時計も目に入る。
[8:56]
あれ?約5分前?
「ん???」
瑠璃もそれをみて気づいたようで僕の方を見てくる。
「私遅刻してないじゃないですか!」
「そんな事言われても、瑠璃が……いや、悪くないか。ああちゃんと確認しなかった僕が悪かったよ」
やけくそで謝る僕。
「人に謝るのにその態度ってどうなんですかね?ね〜皆越先輩」
「くっ……」
「その辺にしておけ。別に誰も悪くないだろ。良いじゃないか無事皆で集まれたんだから」
「うっ、そうですね」
瑠璃が味方につけようとしたが、正論で突き返されていた。
「そんなことより、行くわよ。こんなことで時間食ってたら、せっかく時間通り集まれたのに、バス間に合わなくなっちゃうじゃない」
弥久先輩が続けて、正論を言うので僕たちはおとなしくバスのりばに移動した。
後から分かったことだったが、瑠璃は時間を1時間早めに勘違いしていたらしい。
冷静になって考えてみると、騒がせた瑠璃が悪いような気もしたがそれを口に出して言ってしまうとちっちゃい人間みたいなので心の中に閉まっておいた。




