179話 風邪で休んじゃダメですか?
桜田弥久
何でこんな時に風引いちゃったんだろう、私……
私は今、自室のベッドで寝ていた。
朝起きて体が重い気がしたので、熱を測ってみたら案の定38度5分。
なかなかの高熱だった。
ゆかりが部活どころか学校にも来なくなって、ちょうど1週間後の次の日のこと。
本当は落ち込んでいる泰に寄り添ってあげたかったのに、このざまだ。
別に人の弱みに漬け込むというわけでは無いが、私にとってチャンスでもあったのだ。
まあ、それだけではない。
やっぱり、自分が好きな人が元気なく落ち込んでいるのを見るのはつらい。
それは例え彼が私のことを見てなかったとしても……
こんなことなら、用事なんて後回しにして昨日少しでもあそこにいるんだった。
こうやってあーだ、こーだ言っていたところで何も変わるわけじゃない。
どうせ泰は私のことなんてなんとも思っていないのだ。
ならば、今日いなかったくらいで変わるものでもない、残念ながら。
すると私ができることは1つしか無い。
今できるのは、少しでも早く風を直して、少しでも早く泰のところに行ってあげることだ、と思う……
病人が病気を治すのにできることなんて寝ること位なので、おとなしく目を閉じた。
メッセージの着信音で目を覚ます。
ぼやけた視界が次第にピントを合わせていき、スマホの時計を見る。
気がつけば16時になっていた。
そしてメッセージを送ってきた主は瑠璃。
写真も一緒に添付されているみたいだった。
ロックを解除して、アプリを開く。
[泰が元気ないのでよしよししてあげました]
その文字と、実査の証拠写真。
弱っているのを良いことに好きなようにしている。
行動自体はいつもどうりなのだが、このタイミングがずるい。
私は既読をつけて無視しておいた。
だってムカついたから。
次の日起きても熱は下がってなかった。
昨日よりはまだ楽だったが、多少熱が高い。
2日目ともなればだいぶ熱になれてきて、初日ほどのつらさはない。
だから、学校に行こうと思ったのだが、親から止められたので今日もおとなしくベッドの上で過ごした。
流石に昨日もあれだけ寝ていたのでもうそんなに寝れなかったのだが。
でも、ぼーっとしていれば意外と時間が立つもので、気がつけばもう夕方になっていた。
そして昨日と同じくらいの時刻になればまた受信音がなる。
また瑠璃かなと思って、見ると本当にそうだった。
[見てください、泰が可愛いですよw]
そのセリフと共に送られてきた写真。
瑠璃の胸に顔をうずめて甘えている泰の写真だった。
「あいつーー、絶対に許せん!」
つい興奮で、スマホを投げ飛ばしてしまう。
画面にはヒビが入っていた。
一刻も早く、2人の元へ行って止めたいところだったが、玄関で母に止められた。
その後しっかりと部屋から出ないように監視されるようになってしまった。
あとついでに言えば、騒いで風邪をぶり返した私は、もう1日休むことになった。




