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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
さよなら、さよなら
173/216

172話 瑠璃と2人じゃダメですか?

「来ませんでしたね」


 瑠璃が読んでいた本を片付けながら言う。


 皆越先輩についてのことを言っているのではない。


 彼女がこの頃、顔を見せていないのは事実だがそれとは別だ。


 では誰かと言うと、弥久先輩以外にないだろう。


「来なかったな……」


 早めに帰ったあの日から、弥久先輩も来なくなってしまった。


 それだけ部にとって重要な人物だったのだ。


「泰も部活に居づらいのなら来なくて大丈夫ですよ」


「え?」


 僕は瑠璃の言っていることがわからなくて困惑する。


「だから、ほら。私達はどうせ同じクラスですから。2人だけならここに来る必要もないのかなって。それに……いえ、なんでもないです」


 それに、ここにいると思い出したくないことを思い出してしまう、と言いたかったのだろう。


 確かにそれはある。


 ここにいるだけで、皆越先輩のこと、そして何より鬼頭さんのことを何度も思い出してしまう。


 彼女の意識はまだ戻っていないらしい。


 もしくは、戻っていたとしても教えてくれないだけなのかもしれなのだが。


「僕は、ここにいるよ……」


 例えつらくても、僕はここに来なくなったらいけないという気がする。


 理由はわからない。


 でも、逃げたくなかった。


「そうですか、わかりました。私はもうそのことについては何も言いません」


 瑠璃は、荷物の整理が終わると教室を出た。


 僕も一緒に続く。


 廊下に直接夕日は差し込まないのだが、オレンジ色に染まっていた。


「そう言えば、弥久先輩は何をしているのでしょうね」


「さあ、な」


 そんなことわかるわけない。


 考えたくはないが、僕たちを見捨てた……


 流石にネガティブになりすぎだな。


 それはないにしても、今の文芸部の空気が耐えられなかったのかもしれない。


 元々、自由参加の部活だったのだ。


 最近ではほぼ毎日活動をしていたが、続ける義務はない。


 むしろ、楽しくなければ離れていくのが普通だろう。


 僕が弥久先輩の立場なら同じことをしている。


 だから、先輩を責めることなんて誰もできやしない。



 靴を履き替えるため本校舎の下駄箱まで来た。


「瑠璃先に靴履いてて」


「はい?うん、わかりましたけど」


 僕は、3学年の下駄箱を見に行く。


「確か先輩のクラスと出席番号は……」


 曖昧な記憶と推測で先輩の下駄箱を見つけた。


「やっぱりか」


 そこには予想していた通り、うっすらホコリが溜まり始めている。


 しばらく学校に来ていない証拠だ。


 もしかしたら、少しくらい顔をのぞかせているのかもと思っていたが、そんなことはなかったようだ。


 僕は瑠璃が待っているところまで行くと一緒に帰った。

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