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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
さよなら、さよなら
172/216

171話 居なくなっちゃダメですか?

 文芸部部室は少しさみしい雰囲気だった。


 ここ最近気温が下がって来たということもあるのだろうが、第1は皆越先輩がもう1周間も来てないからだろう。


 先生によると、学校にも来てないらしい。


 おそらく、鬼頭さんのところに付きっきりなのだと思う。


 鬼頭さんは、あれから目を覚まさない。


 これも同じく聞いた話。


 あんな事になった手前、僕が彼女のもとにどの面下げて行けようことか。


「今日も来てないみたいね」


 弥久先輩が先生に言った。


「そうですね。学校にきてません」


「そう……」


 先輩は、落ち込んだ声で答える。


「皆越先輩が居ないだけでこんなに静かなんですね」


 しみじみと瑠璃が言う。


『……………』


 別に、普段、皆越先輩だけが騒いでいるだけではない。


 それでも彼女が居ないだけで、驚くほど静まり返っていた。


 僕たちの中で彼女はそれだけ大きな存在だったというわけだ。



「私、今日はもうかえるわ」


 ここの居心地が悪かったのだろう。


 それは少なからず僕も感じている。


「気をつけて」


 だから僕も引き止めることなんてしない。


「私も、仕事がありますので、ここで失礼させていただきますね」


「はい」



 そうして残されたのは、僕と瑠璃の2人。


 普段つきまとってくる瑠璃だったが、こうして部室で2人きりになるのは意外と少なかった。


「今日は瑠璃も帰るか?」


「泰はどうしますか?」


「僕は……」


 少し考える。


「もう少しだけ……いるよ」


 間髪入れずに瑠璃が、


「それなら私も付き合いますね!」と言ってきた。



 ただでさえ僕の方へ寄せている椅子を更に近づけてくる。


 でも不思議と今日は嫌ではなかった。


 多分僕は寂しいのだと思う。


 本当に自分勝手で嫌気がさすが。



 今なら行けると思ったのだろうか、瑠璃が頭を肩に載せようと傾ける。


 流石に今の僕でもそれは躱した。


「何で避けるんですか」


 瑠璃が、いつものふくれっ面を見せつける。


 僕はそんな彼女をしばらく見つめる。


 普段とは違った反応に不思議がる瑠璃。


「わかったよ」


「???」


「肩に頭、置かせてやるって言ってるんっだよ」


 瑠璃はびっくりするも直ぐに幸せそうに寄りかかってきた。


 ついでにと言わんばかりに、腕まで絡ませて。



 本を読んでいると、いつもより近い瑠璃の唇が僕に囁きかける。


「私は、ずっと泰のもとに居ますからね」


 背中のほうが、こそばゆくなるような、そんな甘い声。


「どういうことだよ」


 僕はその意味がわからない。


 否、わかっている。


 でも、知りたくないのだ。


 怖いから。


「わからないなら、それでも良いですよ」


 瑠璃は答えなかった。


 そのことを言葉にしたら、僕がつらくなるのを分かっていたのだろう。


 だから、はぐらかした。


「そっか……」


 日も落ち、気温も下がってきた教室。


 でも、僕の右肩はほんのりと暖かかった。


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