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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
つかの間の日常
168/216

167話 猫探しじゃダメですか?

「それで、探すっていってもどうするんだ」


 僕たちは、今校外に来ていた。


 校外活動だからと、池田先生も一緒に。


 ちゃっかりと余ったワトソン服を来ている。


「あまり時間もありませんしね。どうしましょうか」


 現時刻は5時。


 日が落ちることを考えれば、後1時間位がリミットだろう。


「その点は任せておけ、私の使用人が、」


「駄目です。私達だけで探すから良いんじや無いですか」


 まあ、言いたいことがわからんでもない。


「それで、猫の特徴とかはあるのか」


 ユカリ・ホームズが情報の整理を求めてくる。


 身長も高くスタイルも良いだけあって様になっていてかっこいい。


「特徴は、っと毛色が黒で目が金色みたいね。体格は子猫ほどでは無いものの小柄みたい。あ、それとこれが写真ね」


 なんだかノリノリでワトソンを演じる弥久先輩


「先輩意外と楽しんでますよね」


「うっさいわねっ」


 怒鳴って来ても否定はしないところ、図星だったのだろう。


「まずは、聞き込みでもしましょうか。居なくなったのはこの辺りなのでしたっけ」


「はい、そうです」


「皆で固まっても仕方がありませんし、何か進展があるまで別行動にしましょうか。わかったことがあれば集まりましょう」


 先生の提案で僕たちは一旦別れて探すことになった。



 今の時間帯なら、幸い人通りも多いため聞き込みもしやすい。


 僕は適当な人に声を掛けた。



「ああ、この猫ね」


 僕が見せた写真に反応を示す、婦人。


「知ってるんですか!」


「知ってるも何も、家のメリーちゃんよ」


 めっちゃ羊の名前じゃねぇか。


 だが、そんなことより。


「メリーちゃんってことは飼われてらっしゃるとか?」


「そうね、娘が連れて帰って来たのよ、可愛そうだからって。ちょうど昨日ね」


「あの、見せてもらうことできますか」


「もちろんよ」


 僕はすかさず皆に連絡を入れる。


 別れてから5分も立ってなかったので直ぐに合流できた。



「何でなんですか。何でそんなに早く見つけちゃうんですか。もうちょっと楽s、ゲフン。もちょっと調査したかったのに」


 案の定、瑠璃は機嫌が悪くなっていた。


「付きましたわよ」


 だどりついたのは、皆越先輩の家ほどでは無いにしてもかなり立派な家だった。


 婦人は、僕たちを中へ招き入れてくれる。


 通されたリビングで待っていると。


 小学生くらいの女の子が、黒猫を抱えてやってきた。


「見つけました、そのn、ふんぐぅ」


 僕は慌てて瑠璃の口を抑える。


「かわいい猫だな。少し触らせてもらってもいいか」


 皆越先輩がフォローに入ってくれたので助かった。


 先輩は猫をなでながら首輪のネームプレートを確認する。


 こっちにアイコンタクトしてきた先輩は、頷く。


 依頼の猫と同じ名前だったのだろう。


 見た目も日付も名前もこれで一致。


 ならば探している猫はこの子でまず間違え無いだろう。


「あなたお名前なんて言うのかな?」


 弥久先輩が女の子に対して聞いた。


「私の名前は、キク」


「そう、キクちゃんね。キクちゃんその猫探している人がいるんだけどお姉さんに帰してもらえる?」


「嫌っ」


 キクは猫をギュッと抱きしめ弥久先輩から少し離れる。


 そこに腰をかがめた池田先生が近づいて声を掛けた。


「キクちゃんお願い。その猫さんを帰してほしいな」


「嫌っ」


 さっきと変わらない答えのキク。


「何で嫌なのかな?」


「だって……」


「だって?」


「寂しいんだもん……」


 そんな自分勝手な理由に怒るでもなく、優しく微笑む先生。


 キクも怒られると思っていたのか、少し驚いていた。


「そうだよね、寂しいよね。たった1日でも一生懸命お世話したんですものね」


 キクは黙ったまま小さく頷く。


「でもね、キクちゃんでそんなに寂しいんだったら元の飼い主さんはどうだとおもいますか?」


「もっと、寂しい……」


「そうですね。ならどうしたら良いと思いますか?」


「帰してあげる……でも、」


「正解です。でも?どうかされましたか?」


「…………」


「また会いにいけば良いでは無いですか。こんなにこの猫ちゃんのことを可愛がってくれたキクちゃんならきっと、飼い主さんも、もちろん猫ちゃんだって喜んでくれると思いますよ」


「ほんと?」


 キクは恐る恐る先生の顔を見上げる。


「ええ、本当です。何なら一緒に帰しに行きませんか?そこで一緒にお願いしましょう」


「うん……」



「先生。なんだか先生みたいでしたよ」


「それは、褒めているのですか?貶しているのですか?」


「両方です」


「まあ、私も似たようなことがありましたし……」


 遠くを見つめる先生。


「先生も猫を?」


「いえ。大切な本を博物館に持っていかれました」


「あ、ソレハツラカッタデスネ」


「なんですかその目は」


「そんなことより早く向かいましょう。暗くなってしまいますし」


 僕たちは、キクを連れて家を後にした。



「ありがとうございます」


「お礼だったら、このキクちゃんに言ってあげてください。この子が保護していてくれたんですよ」


 何もしていない瑠璃が、自慢気に話す。


「そうなの?」


 それに頷く形で答えるキク。


「あのね、猫ちゃん見に来てもいい?」


 少しビクつきながら聞いていた。


 泣かなかったのは先生が肩に手を置いてくれたからだろう。


「もちろん、サクラもよろこんでくれるわ」


 黒猫のサクラはそれに答えるようにニャ−と鳴いた。



 その後、加納から聞いた話によるとかなりの頻度でサクラに会いに行っているらしかった。


 ちなみに瑠璃はこの後直ぐに探偵に飽きたのか、部室のダンボールに探偵セットが投げ込まれていた。

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