166話 探偵じゃダメですか?
今日部室に行くと瑠璃がチェック柄のコートに鹿撃ち帽を被って虫眼鏡を持っていた。
ちなみに、パイプの代わりとしてチュッパチャップスを口に咥えている。
「どうしたん?」
「見てわからないんですか?探偵ですよ」
それはわかる。
こんな探偵が実際にいるかどうかは別として、今の格好はザ・探偵といった格好だ。
逆にそれ以外に見えない。
「僕が言っているのは、何でそんな格好をしているのかについて聞いているんだ」
僕が瑠璃に理由を聞いていると、皆越先輩と弥久先輩も部室に入ってきた。
皆越先輩は、瑠璃と同じ探偵の格好。
唯一違うところは、飴じゃなくて本物のパイプを咥えている所だ。
弥久先輩は、カーキ色のジャケットを着て頭にはボーラーハット。
なんだかパットしない服装だ。
例えるなら18世紀後半のイギリスみたいな格好をしている。
「えっと何?それ?」
僕は多分アレだろうなー、と思いながらも一応聞いてみる。
「ワトソンに決まってるでしょ。他に何があるの」
ですよねー
でも探偵の格好をした人が隣にいないとそのコスプレわかんないと思うんですよ。
「で、結局何でそんな格好してるんだよ」
話は戻ってもう1度聞く。
「さあな?突然、瑠君がやりたいって言ってきたぞ」
僕は瑠璃の顔を見る。
「何故ならば今日から私は名探偵だからです」
答えになってない……
溜息をついて、瑠璃から視線を落とせば偶然カバンからはみ出た青いジャケットの少年が見えた。
「お前、コナン読んだだろ」
「な、何故わかった!」
見た目は探偵なのにセリフは完全に犯人のそれなので見ていておかしい。
「そりゃあんなのがカバンから見えればな」
「明確な事実ほど誤られやすいものは無いんですよ」
「ドヤ顔でそれを言うのやめろ。名言が汚れるだろ」
「大切なものほど目に見えないんですよ……」
ニヒルな笑みを浮かべる瑠璃。
なんかウザい。
「無理にセリフ使わなくて良いよ。全く意味不明だよ。ついでに言えば、それ星の王子さまだよ」
3連続のツッコミを入れて流石に息が切れる。
「せっかくなので泰もワトソンしませんか。服余ってますよ」
「いやだ」
僕は速攻で断る。
「え、着ないの……せっかくお揃いになるのに……」
「弥久先輩心の声漏れてます」
大体こんなのでおそろいにしなくても、ペアルックがしたいなら今度してやるよ。
とは思ったが、口には出さない。
瑠璃に聞かれると厄介そうだから。
なら私とおそろの探偵なら良いんですねとか言って無理やり着せられかねない。
「それにしても、事件が起きないですねー」
「そりゃ、人が死にまくる地域じゃないからな」
こいつは、本当に探偵やろうと思ってたのだろうか。
「何ならいっそ起こしに行きましょうか、事件」
「それだけはやめろ」
「えーだって、何も事件起きないじゃないですかぁ。1つ位起きても良いと思うんですよ」
そんな時LINEの通知が着たのでこの会話からフェードアウトするためスマホを見る。
「げぇ」
画面を見た僕は思わずそんな声が出てしまった。
「どうしたんですか?」
瑠璃が画面を覗き込んできたのでスマホをそらしたのだが少し間に合わなかった。
瑠璃がそれを見て、ニヤリと笑う。
「それでは、猫ちゃんを探しに行きましょう!」
LINEの内容は、加納から猫探しの依頼だった。




