156話 アロハシャツシャツじゃダメですか?
瑠璃からゲームセンターに連れ攫われたその日の夜。
[ゆかりに良い作戦思いついたから土曜10時、イオンに必ずくること]
そんなLINEが弥久先輩から送られてきた。
内容を聞いても返信はなく、今日が金曜日ということで学校で何か聞くこともできなかった。
どうしようも無いので僕は、土曜にイオンに向かった。
少し早めに着くと、ちょうど弥久先輩からLINEが届いた。
[もうついた?わたしバス停のところに居るけど]
どうやら弥久先輩もちょうどついたところらしい。
僕はさっきまでいたバス停の方へ向かう。
そこには挙動不審にあたりを見渡す弥久先輩の姿があった。
先輩の私服は何度か見たことがあるが、なんだか今日は気合が入っていると言うか……
変に緊張してしまいそうなのでできるだけ見ないことにしておこうと思う。
「弥久せんぱーい」
僕は先輩に手を振ると彼女も気づいたみたいでこっちに駆け寄ってきた。
「ごめん、もしかして待たせちゃった」
「いやまだ20分前ですよ」
「なら良かった……」
先輩はさっき急いだためか息が上がっていた。
「これ飲みますか?」
僕はさっき自販機で買ったミネラルウォーターを渡す。
「え?」
最初理解できていなかったみたいだが把握すると「良いわよ、気にしないで」と押し返してきた。
「大丈夫ですよ、まだ開けてないですから」
「う、うん。ならもらっとく」
弥久先輩は少し残念そうに受け取る。
何を考えているのか薄々わかるが、知らないふりをした。
「それで、作戦ってなんですか?」
これが今日の本題。
半分、僕を呼び出すための餌なんじゃないかと疑っている。
「そのことだけど、まずは入ろっか」
弥久先輩は先に自動ドアを潜るとどんどん歩いていった。
僕もその後をたどる。
ついたのは衣類コーナー
「それでそろそろ教えてもらっても良いですか?」
「泰、あなたはお世辞にも顔が良いとは言えないわ。残念ながらね」
[随分と失礼ですね」
「そんなことはどうでも良いの。要するに身だしなみが大事ということよ」
要するにが何なのかわからない。
「まだわからない?私がゆかりが好みそうな男にしてあげようって言ってるの」
なるほど。
そのために僕を呼び出したのか。
「あの、ありがとうございます……」
意外とちゃんとしたアイデアだったので面食らう。
「わかればよろし。うむ、くるしゅう無い」
あ、なんかさっきまで見直していたのにぶん殴りたくなってきた。
フシギダネ。
「それで、どういう服が良いんですか」
皆越先輩とはあって半年。
それくらいのしかも放課後だけなので正直好みがさっぱりわからない。
ちなみにだが弥久先輩の好みはわかる。
絶対キザな主人公とか好きなタイプだ。
「そうね、こんなのどうかしら」
渡してきたのは、赤い龍柄のアロハシャツ。
完全に族が着ていそうなやつだ。
「一応聞きますがその理由は」
「ああ見えて意外とワイルド系が好きなのよ」
「弥久先輩こういうのはワイルドでは無いです」
先輩は僕の言葉を飲み込めていないようだ。
「でも、お母さんが言ってたんだけど」
「じゃあ、騙されてるんですよ。それかお母さんも間違えてます」
弥久先輩は恥ずかしさのあまり、みるみる顔が赤くなる。
「忘れなさい」
「いや無理ですよ」
「じゃあせめて、誰にもいわないで」
「それくらいなら……」
よし、真由美に今度教えてやろっと。
「じゃ、じゃあよ。こんなのどうかしら」
次に持ってきたのは白のスーツ。
まあここまでは良い。
良くは無いけどまだ良い。
何で柄物のネクタイに黒のワイシャツなの?
「弥久先輩は個性的なファッションが好きなんですね」
「言いたいことがあるなら聞こうじゃない」
言ったらぜったい怒られるので黙秘権を行使する。
弥久先輩を頼っていたら大変なことになりそうだったので、皆のグーグル先生に聞いてみることにした。
先輩は明らかに不満そうだ。
「なになに、白を入れると良いみたいですね。それにジャケットをあわせたり……」
「ほっほら、言ったじゃない!」
自分の言っていたことが記事に書いてあったので興奮気味の先輩。
「いや見てくださいよ。それと全然違うじゃないですか」
僕は、先輩の持つ白のスーツを指差す。
「え?どこらへんが?」
あ
これダメなやつだ。
先輩にはファッションセンスが壊滅的に無い。
僕はネットを参考に、自分で選んだ服をレジに運ぶ。
弥久先輩が抗議してきたが全力で無視した。




