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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
つかの間の日常
156/216

155話 プリクラじゃダメですか?

「ちょっと位待てよ瑠璃」


 それほど広くもない店内。


 焦らずとも直ぐに追いつけることができた。


「泰次はこれやりましょう」


 瑠璃が指を指したのはエアホッケーだ。


「まあ、良いよ」


「やった!」


 どうせ僕に奢らせようというつもりだと思うのでそれならと予めお金を入れておく。


 せがられて拒否するような男だと思われたくないし、そもそもケチる理由もない。


 にぎやかな音楽が筐体から鳴り始めて、僕たちはマレットを手に取る。


「えへへ、見てくださいにとーりゅーです」


 瑠璃は両手にマレットを構えて嬉しそうにしている。


 あれで本当に使いこなせるのかは知らない。



 そうこうしているうちに、パックが出てきた。


 先行は僕のようで、こっちの方に滑ってくる。


 僕はパックが浮いてしまわないように気をつけながら強めに弾き返す。


 すると狙い通りに、瑠璃が両手で構えているちょうど真ん中に吸い込まれていき見事にゴールした。


「泰ずるいです」


 お前が2個持つなんてアホなことするからだろ。


 瑠璃は、右で返すか左で返すか迷っているうちに返せなかったのだ。


「ずるいわけ無いだろ」


「いやずるいですよ。普通女の子にはもっと手加減するでしょ」


「え?」


「え?ってどうしたんですか?あ、もしかして大事な用事があったたとかですか?それなら急に誘ったりしてすみませんでした」


「瑠璃って女の子だったの?」


「泰それシンプルに失礼ですよ。これでも喰らえ、必殺!両手サーブ!」


 瑠璃は両手でパックを打ってきた。


 と言うかまだこりてないのか。


 結果は明快。


 パックを放つ前にマレットどうしがぶつかる。


 そして軽くあたっただけのパックはへなへなと頼りないスピードで僕の方に来た。


「瑠璃。必殺って言うのは必ず殺すから必殺っていうんだぞ。パックで人殺せるわけ無いだろ」


「そうですね」


 瑠璃は案外あっさり認めた。


「やっぱり1枚じゃ厳しいですよね。前殺ったときでも300枚でやっとでしたから」


 一体何をやったのか怖くて聞けない。


 パックを300枚使うなんてどんな拷問だよ。



「瑠璃、僕謝らないといけないことがあるんだ」


「どうしたんですか?泰に謝られるようなこと何かありましたっけ」


 こいつの脳は鳥類なのだろうか?


「ほら、女の子だったっけ?なんて言ってさ。流石にひどいこと言ったと思って反省してる」


「ああ、別に怒ってませんよ」


「瑠璃って可愛いから。そうやって思っていないと僕は自分を抑えられそうになくて……」


「泰……」


 瑠璃が、うっとりと熱を帯びた表情をする。


「スパンっ」


 僕はそんなの無視して止めてたパックを瑠璃のゴールめがけて打った。


 油断していた瑠璃は止めることができずまた得点を許してしまう。


「泰卑怯です。私の心を弄んで」


 瑠璃が抗議してくる。


 が、引っかかるほうが悪い。


 

 ……そんな下衆を見る目で見ないで。


 僕めっちゃ棒読みだったから。


 明らかに冗談だってわかる位セリフ棒読みだったから。


 絶対あんなのに引っかかるほうが悪いから。


「あれ?パックが出てきませんよ」


 瑠璃が、ゴール下のパック取り出し口を漁って言う。


「もう、タイマーがゼロになってるな。時間制だったみたい」


「もう1回やりませんか?」


「そうだな。物足りなかったし」


 次こそは真面目にエアホッケーを初めた。


 真面目にやれば意外と接戦だったが、ギリギリ僕が勝った。


 もちろん勝ちを譲ることなんてしない。




「泰ー次はこっちです〜」


 夕方から来てるからそれほど時間が多いわけもない。


 ちょっと遊んだだけでも外は暗くなってきていて、そろそろ帰ろうかと思ったのだが瑠璃が僕より先に言ってきた。


「そんなに遅くまで居るわけには行かないんだから帰るぞ」


「えーでも、プリクラだだけ。すぐ終わりますから」


「却下する」


 僕は足早に1人で出口の方へ向かった。


「何で逃げるんですかっ」


 瑠璃が駆けて僕の制服を掴んできた。


「僕あれ苦手なんだよ、取られた写真気持ち悪くなるし」


「気持ち悪いんじゃなくて可愛くなるんですよ」


「とにかく嫌だから。どうしてもって言うなら1人でいけば良いだろ」


「はい……」


 瑠璃は案外素直に1人撮影機の方へトボトボ歩いていく。


 あれがわざとやっているってのは、わかっている。


 それでもなんだか見ていられない。


 これは完全に僕の負けだ。


 僕は小走りで瑠璃に近寄る。


「わかったよ、取れば良いんだろ」


「はいっ!」


 瑠璃は満面の笑みで答えるもんだからつい嬉しくなってしまう。


 全く仕方のないやつだ。



 カーテンをめくって中に入ると眩しい照明と、ギャルギャルした案内音声が流れていた。


 500円入れると機械が動き出す。


「まずはハートのポーズだよぉ」


 瑠璃はその声に従って手でハートのかたちを作る。


「ほら泰もやってください」


 マジでか……


 幸いカーテンのおかげで周りからは見られていない。


 僕はそれならと仕方なく画面に出ているポーズのマネをした。


「いっくよぉ〜。3・2・1」


 パシャと大げさなシャッター音がなり撮影される。


 それが繰り返されること数回。


 僕は、あごピースとかウインク虫歯ポーズとか小顔ポーズとかさせられた……



 撮影が終われば隣のブースで落書きをする。


 特に描くことんがなかったので適当に瑠璃が何を描くのか見ていた。


「こ、い、び、と。ら、ぶ、ら、ぶ。ずっ、と、も」


「せめて一貫性を持たせろよ。ツッコミにくいよ」


「ということは、結婚とか婚約が良かったってことですか?」


「ちがう。ちがうけどもう勝手にしろ」


「やったー勝手にしますね。永遠の愛っと」


 うん、なんか重くなってるよね。


 でも気にしないよ。


 気にしたら負けだと思うから。



 印刷された写真を僕は財布の中にでもしまった。


 瑠璃が筆箱に貼ろうとしていたが全力で止めたらどうにか思い直してくれてよかった。

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