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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
つかの間の日常
154/216

153話 ノベルゲームじゃダメですか?

 いつも通り授業が終わって、部室に入るとそこにはノートパソコンを見入る皆越先輩がいた。


 何か書類でも作成しているのかな程度に思い、いつもの席につこうとする。


「プラネタリウムはいかがでしょう?どんな時も決して消えることの無い、美しい無窮のきらめき。満点の星々が皆様をお待ちしております」


 流れてきたのは抑揚の薄い声。


 おそらく皆越先輩のパソコンから流れてきているのだろう。


 周りには僕だけでなく、弥久先輩や瑠璃が居るのだが特に気にしている様子はない。


 僕は何をしているのか気になって、皆越先輩が見ている画面を覗き込む。


 そこにそこに映っていたのは、水色の髪色をした少女だった。


「皆越先輩なに部室でギャルゲーやってるんですか」


 そう、先輩がやっていたのは明らかに美少女ゲームだった。


 学校でゲームをするだけでもどうかと思うのに、流石にギャルゲーはもっとどうかと思う。


「失礼な。泰君、これはノベルゲームだよ」


「そうだったんですね。ここ文芸部だからそれなら問題ないですね」


 皆越先輩はそうだぞ、と言わんばかりに視線を戻した。


「とでも言うと思いましたか?」


 先輩は、どうしたのかという不思議がる視線を向けてくる。


「いや、だからそんな言い訳が通るわけ無いでしょ」


「通らないのか?」


「通りませんよ」


「だって、ゲームとは言っても名ばかりでほとんど小説と変わらないぞ。違うところと言えば音声があるくらいだが、近頃は音声で楽しむ小説とかもあるらしいしな」


 妙に筋が通っていて反論しにくい。


「皆はどう思うんですか?」


 どうしようも無くなったので他2人に投げた。


「私はどっちでもいいですよー」


 瑠璃は自分の書いている小説から目を離さないまま答える。


 本当に興味が無いといった態度だ。


「いや、私はそのゲーム好きだし……そもそも進めたの私だし……」


 皆越先輩は勝ったと言う笑みを浮かべた。


「泰君も変な意地はってないでやってみたら良いだろ」


 先輩が僕を視線で射抜いてくる。


「……わかりましたよ」


 僕がそう答えると、まだ途中だったゲームを辞めて僕に貸してくれた。


「あれ?途中だったんじゃないんですか?」


「君はやめろと言う割には強制的に止めたりはしないよな」


「昔無理やりぶっちぎられたことがありますから……」


「あははは、それは大変だったな。それと、これは家に持って帰ってもらっても構わないよ。部活の時間でやったところでどうせ終わらないだろうしな」


 それは流石にと、断りはしたのだが押し付けてくるので受け取っておいた。




 次の日。


 尋常じゃ無い睡魔と戦い見事6限目に勝利下僕は、部室に向かって歩いていた。


「ふぁ〜」


 もう放課後ということもあり、抑えることなくあくびをする。


「眠そうだな」


 そんな時後ろから皆越先輩の声が聞こえてくる。


 気の抜けた表情を見られるのは恥ずかしい。


 それも、皆越先輩からだからなおさらだ。


 これが、弥久先輩や瑠璃だったならなんとも思わなかったと思う。


「昨日寝ずにゲームしてしまったので」


「あれ?確か寝れなくなるほど長いシナリオじゃなかった気がするんだが」


「初めた時間が遅くてですね。初めはすぐやめるつもりだったんですが、ハマっちゃいまして」


 嘘は言っていない。


 初めた時間は8時頃。


 遅い時間と言うには、厳しいかもしれないが早いか遅いで言ったら遅い部類だろう。


 そしてハマった結果、それから何度もやり直してしまった。


 朝鏡で顔を見てみたら、涙で腫れためと隈でひどいことになっていた。


 隈はどうにもならないが、目の腫れは何とか引いているので先輩に見られずに済んでいる。


「それでどうだった?面白かっただろ?」


「はいっ、とっても!……あ、まあまあですね」


 つい情景反射で答えてしまって、慌てて言い直す。


「そんな意地はらなくって良いよ(笑)」


「はい。面白かったですよ。ラストのシーンは泣けました。普段あまり泣かない方なんですけどね」


 皆越先輩は僕が話す感想を嬉しそうに頷いて聞いてくれた。


「そうだ、まだ他の作品があるからそれをやってみると良いよ。予想して、USBでデータ持ってきてるからな」


 先輩はウインクして自慢気にUSBメモリーをポケットから取り出す。


 こうして、僕は沼に引きずり込まれていった。



 後から知ったことなのだが、先輩や僕みたいな人のことを鍵っ子と呼ぶらしい。

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