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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
つかの間の日常
153/216

152話 テーブル筐体じゃダメですか?

 とある日の休日。


 僕は夏休みが終わった今でも、コーヒーハウスでバイトをさせてもらっているので、今は仕事中だ。


 元々夏休みの期間だけということだったので、バイトを続けるなら他のところを探さないとなぁ、と話していたらマスターが続けて良いと言ってくれた。


 なので土日だけであるが、喫茶店でのバイトを続けている。


 ちなみに弥久先輩も一緒に働いている。



 僕はいつも通り混雑時を過ぎた店内で、自分用に入れたコーヒーを飲んでいた。


 マスターはなんだか用事があるとかで店を開けている。


 流石に高校生に任せるのはどうかと言ったのだが、どうせお客さん来ないからと出ていってしまった。


 カフェをやっていてお客さんが来ないからと思ってるのはどうかとは思うが、経営者出ない僕の知ったこっちゃない。



 しばらく客席に座って休んでいると、カランコロンとカウベルの心地よい音が店内に響き渡る。


 僕はお客さんに対応するため慌てて席を立ってカップを片付けようとする。


「ああ、そのままで良いよ泰くん」


 しかし、入ってきたのはマスターだったのでもう1度座り直した。


 コーヒーさっき慌てて一気飲みしたので、空になっている。



「こっちにお願いします。入りますかね?あ、扉反対側も開けますね。鍵は・・・・・・あった」


 マスターは外にいる誰かと話しているらしい。


 普段は閉めているもう片方のドアを開けると、かなりゴツいテーブルを抱えた人たちが入ってきた。


 それを店内に元々あったテーブルをどけて、その代わりに設置する。


 設置が終わったら、運んできた人たちは帰っていった。



 僕はそのテーブルが気になって、近づいてみてみる。


 全体的に黒く、天板はガラスになっている。


 テーブルの向かい合った両端には、原色のボタンやらアナログスティックがついていた。


「マスターこれって・・・・・・」


「テーブル筐体だよ。知ってる?」


「ええ、まあ」


 カウンターでコップを磨いていた弥久先輩も気になったようで見に来た。


「本当に実在したんだ」


 僕も同じ感想だ。


 テレビで見たことはあったが現物は初めて。


「せっかく出しやってみない?」


「私はゲームはそんなに・・・・・・」


 僕もあまり乗り気では無い。


 本物を見れて良かったとは思うが、ただそれだけだ。


「そうか、やっぱりゲームは何か賭けないと面白くないよね。じゃあ私に勝った人は時給50円上げちゃう。その代わり負けたらー50円ね」


「マスターそれ本当よね。言質は取ったわよ」


 お金が絡んできた途端、弥久先輩が反応を示す。


「嘘はつかないよ。で、泰君はやるの?」


「僕は遠慮しときますね」


 ゲームで時給が上がるのは抵抗があるので辞退した。


 

 筐体の電源を入れたら、天板を兼ねたモニターにドットの絵が表示される。


 子供の頃したゲームはまだギリギリ、ドット帳のものが多かったので懐かしい感じがする。


「じゃあ始めよっか」


 マスターはプレイゲームを押して、勝負を開始した。




「何で勝てないのよ!」


 叫んでいるのは弥久先輩。


 ちなみにこれで3戦目が終わって、その全てで清々しいまでの敗北をしている。


 マスターが強いと言うより、先輩が弱かった。


「弥久ちゃん。そんな感情的になってたら勝てる勝負も勝てないよ」


「あーもう最悪これで時給150円下がっちゃう」


 多分弥久先輩は、ギャンブルとかすると借金するタイプだと思う。


 何があっても絶対に、先輩の連帯保証人にはならないと誓った。


 それにしても150円も引かれたら、労働基準法ぶっち切りなので冷静になればそんなこと無いと気づけそうなのにアホな女だ。


「それじゃあ、最後のチャンスだよ。泰君と勝負して、勝ったらチャラにしてあげる」


「嫌ですよ。それ、僕にメリットが無いじゃないですか」


 ただただ面倒くさいだけなのにやるわけが無い。


「泰くんが勝ったら時給1000円にしてあげるから」


「よし載った」


 お金が絡んだ途端どうたらこうたら言った気もしたが、お金は大切だしね。


 手のひらクルクルリだけど間接が柔くなって怪我しにくくなるから一石二鳥だと思う。


「良いですか、始めますよ」


 流石に不意打ちしてまで勝つ気は無いので、確認を取る。


 そして最後の勝負が始まった。




「なんで勝てないのーーーー」


 叫んでいるのはまたも弥久先輩。


「めっちゃ弱い・・・・・・」


 弱すぎて歯ごたえが無い。


 流石にこれで、時給が1000円になるのは申し訳無さすぎるくらいに弱かった。


「どうしてそんなに強いのっ!」


「あー、僕、全国模試の成績良いんですよね。だからかな?」


 もうめんどくさいので適当に答えた。


「失礼ね。私だって、模試の成績は良いわよ!」


 弥久先輩は僕の適当な返しに怒ったようで机をドンっと叩いた。


 すると見る見る画面が暗くなっていく。


『あ・・・・・・』


 3人が揃って口を開けている。


「ま、まあ、古いものだしね。壊れかけていたと思うよ」


 涙目で言うマスターの顔は引きつっていた。


 多分結構値が張ったのだと思う。


「すみません・・・・・・弁償します・・・・・・」


「ダイジョウブキニシナイデ」


 その後マスターは数日店を閉めていたらしい。


 相当ショックだったのだろう。



 ちなみに、テーブル筐体の末路なのだが壊れた後でも店内の隅に置かれている。


 特殊な形のため客から邪魔がられているのを見てマスターはいつも悲しそうにしていた。

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