150話 少年漫画じゃダメですか?
「ちょっと思ったんだけど、少年漫画とかってやたらとムキムキな人出てくるわよね」
何でかそんなことを言い出した弥久先輩。
大方、ネットでそういう漫画を読んだとかそんなところだろう。
「まあ、そんなイメージはありますね」
「あれって、女の子が魔法少女に憧れたりする感じなのかな」
そんなことを言われてもそれがどういう感じなのかがわからない。
と言うより、そう言い出すということは先輩が魔法少女に興味があったのだろうか。
少し意外かもしれない。
「魔法少女は普通に漢でも憧れると思うぞ。いやあれは少女では無いのか?」
「皆越先輩話がややこしくなります……。それはさておいて、どうなんですかね?一緒かと言われれば少し違うような気がしなくも無いですが」
「ふーん。泰そう言えば私気になってたんだけど、やっぱり男子って筋肉が大きいとステータスなのかしら」
「え?まあそうですね」
まあステータスではあるのか?
僕もたまに筋トレしたりするし。
「でも大きくても特に良いことなくないか?大きいだけだと実用的じゃないぞ。そしてその分運動したら痛くなりやすいだろ」
確かに筋肉が多い分、筋肉痛も増えているような気はしなくは無い。
だがしかしそこは問題じゃないのだ。
「何言ってるんですか?漢たるものおっきいほうが良いに決まってるでしょ!」
これは、この世界の真理。
誰がなんと言おうと譲れない。
あと、筋肉痛はなれるとちょっときもちいい……
「でも結局服着てると見えないからたいして変わんないだろ」
「いやいや、だからこそですよ。普段見えないからこそ脱いだ時のステータスなんです。この前の林間学校のときだって、僕がお風呂に入った時のざわめきはすごかったですよ。皆に見せてやりたいくらいでした」
まあ男湯だから無理なことはわかってるけど。
「へー以外。泰結構ちっさそうだったのに。せっかくだから見せなさいよ」
「いやですよ。なんかそんなふうに見せると恥ずかしいじゃないですか……」
まあそういうことだ。
見せるために鍛えているのはその通りなのだが、まじまじと見せるのは違う気がする。
「ああ!もう!じれったいわね。瑠璃そいつを捕まえなさい」
「いぇす、まむっ!」
弥久先輩が指を前に突き出すとそれを待っていたかのように、瑠璃が飛びかかってきた。
そして逃れる暇もなく座っていた椅子ごと押し倒される。
「……汚された。もうお嫁にいけない」
「大丈夫です。私がお婿さんにもらってあげますので」
「……冗談で言ってるんだよ真に受けるな。っと、家から連絡入ってた。……ちょっと急用できたから先に帰りますね」
「ああ今日つけて帰れよ」
助かったと言うべきか、親からピンチだからキャベツ買ってこいと命令が入った。
特に活動という活動もしていないので、仕方なく今日は帰ることにする。
後から小言を言われても面倒なのだ。
教室の引き戸を引くと何かが軽く当たる感触があった。
見るとそこにはデコを抑えた見覚えのある顔。
「真由美、先輩?」
「あ…あ……」
真由美先輩はカオナシのような声を出している。
「・・・・・・」
「ど、どうかしましたか?」
「最後の言葉なんて言ってなかったからーーーー!!」
何がなんだかわからないまま、それを捨て台詞に逃げていった。
よくわからないのは同じだが、なんだかこのまま逃して置くとまずい気がする。
「え?あっ、ちょっとまって」
僕は猛スピードで立ち去っていく先輩を全力で追いかけたのだった。




