147話 結果発表じゃダメですか?
体育祭も残された数種目が終わり、いよいよ閉会式を待つのみとなった。
一同は、緊張の面持ちで得点ボードを見ている。
現在得点は全て隠されている。
しかしその目隠しの奥には、もうすでに結果が差し込んだるのだ。
ドラムロールが鳴り響き期待が高まる。
そして止まったと同時に、1桁めのカバーが一斉に外された。
この時点で勝っていようが劣っていようが大した差ではない。
だからこそ場は、次の結果を待つためにより一層静まり返る。
再びドラムロールが始まり、止まってから2桁目が開かれた。
ここに来てようやく、ところどころからどよめきが生まれた。
現在わかっている点数は1組から順に、○23、○76、○01、○90、○98、○65、○33、○11だ。
この点数だけ見てもわからないのはさっきと同じ。
でもなぜだか、さっきと違う緊張感がある。
どこの3桁目が何点なら僕たちが勝てるのかと計算をする。
他の皆も大方やっていることは同じだろう。
整理仕切らないうちに最後のドラムロールが始まる。
その音を聞くと余計なことを考えている余裕などなくなる。
これまで比べ明らかに長い時間が過ぎていく。
止まりそうになっては強くなり、止まりそうになっては強くなる。
それが3回くらいくり返されたところで、ようやく鳴り止んだ。
誰かの生唾を飲む音が聞こえてくる。
もしかしたらそれは自分の音だったのかもしれない。
そして、ようやく揃って3枚めがめくられた。
左から順に4、4、4、4、3、4、4、4だ。
つまり見事1位の座を勝ち取ったのは、4組だ。
僕たち、2組は残念ながら2位という結果に終わってしまった。
表彰台に上がったことには違いない。
だがしかし、それは1位とは決定的な差がある。
思い返してみると、僕たちはよく頑張っていたと思う。
ただそれだけではダメだったのだろう。
正直なことを言えば、体育祭の結果なんてどうでも良いと思っていた。
でもいざこうして結果と向き合うと、なんだか悔しい。
もっとこうしていれば、良かったのにという後悔が今更になって浮かんでくる。
僕が落ち込んでいると、最後だからと本部席を離れて今隣りにいる瑠璃が肩に手を置いてきてくれた。
「泰、悔しい気持ちはわかりますよ。その気持を忘れずに来年は頑張りましょう」
瑠璃の言葉につい涙が出そうになるがそれはプライドにかけてぐっとこらえた。
「ああ、ありがとう瑠璃……」
普段ちょっとあれな瑠璃だが、こういうときは結構しっかりしているから油断ならない。
……あれ?
「ちょっと待て。お前今回の体育祭で何もやってないだろ!何が、悔しい気持ちわかりますよだ。ただ見ていただけで僕たちと同じ気持ちなわけが無いだろ」
「……てへ?」
瑠璃はウインクをして首を傾げる。右手をグーにしてそれを頭に当てた。
いわゆるテヘペロってやつだ。
容姿に騙されて、可愛いと思ってしまいそうになるがぐっと堪える。
「それが許されるのは小学生までだからな」
「あ……せんせーー!足が急にうずき出したので保健室まで連れてってくださーーーい!」
瑠璃は大急ぎで先生を呼びつけ、保健室に逃げていった。
まあ、なんだかんだで瑠璃に元気づけられたのが少しだけ納得行かなかった。




