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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
体育祭編
145/216

144話 全力を出しちゃダメですか?

 僕と、前を走っている人ととの距離は少しずつだが詰まってきている。


 だが、このままだとゴール直前に追いつけるか微妙に厳しい。


 もうダメかもしれない。


 そう思ったせいで僕のペースはさっきより落ちていることがわかる。


 気が走ることからそれ、ふと観客席の方を見た。


 その時ちょうど皆越先輩の姿が目に映る。


 彼女は立ち上がって、必死に応援してくれていた。


 僕は始まる前の気持ちを思い出す。


 皆越先輩に良いところを見せたかったんじゃないのか?と。


 そう思えば不思議と地面を蹴る足に力が入る。


 風は勢いよく僕の頬を滑っていく。


 落ちてしまっていたペースも取り戻し、むしろさっきより速くなっている。


 最終コーナーまでにはピッタリ後ろに付くことができた。


 僕は、最後の直線に一気に仕掛けるためにそのままそこに身を潜めチャンスを伺う。



 後少しでコーナー出口というところで、相手のペースが若干落ちたように見えた。


 僕が、後ろにいたことがプレッシャーになって自分のペースが乱れたのだろう。


 これは絶好の機会だと思い、残す力全てを使い一気に速度を上げた。


 心臓が強く脈を打っている。


 肺は酸素を欲し、呼吸が早くなる。


 普段ならこんな状況苦しいはずなのに、今の僕にはそんなの感じなかった。


 すぐ目の前にはゴールテープが見えた。


 血が沸き立ってくるのがわかる。


 僕は勝てる。


 これは慢心なのではない。


 現状を冷静に判断した公平な判断だ。


 

 あともう1歩踏み出せばゴール。


 しかし、その1歩から伝わってきたのは空を蹴る感触だった。


 一瞬何が起こったのかわからなくて、混乱する。


 世界が回転し、見えたのは空だった。


 いきなり視界が変わったのだ。すぐには動けない。


「走れーーー!」


 大勢の歓声の中、僕の耳には確かにその声が届いた。


 聞き覚えのあるような声だったからこそ、気づけたのかもしれない。


 僕は死物狂いで立ち上がり、目の前にあるゴールラインに飛び込む。


 テープはすでに切られており、もうすでに無い。


 僕は3位でゴールしたのだった。



「その……残念だったね……」


 声をかけてきたのは、以外にも花子だった。


「気にすること無いよ、私だって全力で走ると足がもつれちゃうことあるし」


 失敗をした時にこうやって気を使われるのは逆にきつい。


 僕が何も言えずに落ち込んでいると、陸人が花子の肩に手を置いて止めた。


「今、泰氏に必要なのはそんな同情の言葉ではないでやんす。だから我らは行きやすよ」


「え?う、うん……」


 納得できてない様子ながらも、無理やり連れて行かれていた。



 気がついたらもう昼休みになっていた。

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