13話 今まで通りじゃダメですか?
久しぶりの部活動。と言っても4日の間行っていないだけだが。
何はともあれ部活は進んでいく。
皆越先輩とはさっき会ったばっかりなので久しぶりな感じはしなかった。昨日会っていた弥久先輩も同じだ。
いつもの教室にいつものメンバー。いつもと違うのはその場の空気だった。
色々なことがあった文芸部のメンバーの空気は何ともいない重たさがあった。僕が欲しかったのはもっと居心地のいい空間だったはずだ。
本当はもっと前みたいに和気あいあいと話していたい。でもどうすればいいのかわからないというのが現状だった。
「クスッ、あはははは!」
笑い声をあげたのは皆越先輩だった。
「すまない。でもおかしくて」
一応詫びを入れる先輩だが笑いを抑えることはしない。
「だってそうだろう?みんなくだらないことを言い合いたい。でもどうしていいかわからない。違うか?」
確かにその通りだった。弥久先輩はともかく、僕はさっきまでそう考えていた。
「そうですね、僕もそう思っていました」
「奇遇ね。私もそうよ」
「ならばこんな重たい空気である必要ないじゃないか」
みんな同じ想いなのにその反対のことをしてしまうのは不思議なものだ。
ふいに時を見てみると下校時刻の10分前を指していた。
「先輩もうそろそろ時間ですよ」
「ふむ、案外時間が進んでいたのだな。まあたまには読書に集中できる日があってもいいのかもしれないな」
「それじゃ、私は帰るから」
終了の合図を待たず勝手に帰りだす弥久先輩。いつものことだから誰も気に留めることはない。僕もそれに続こうとしていると、弥久先輩が何かを見つけたのかしゃがみ込んでいた。
「あれ?これ何かしら」
そうやって拾ったのは一枚の紙らしきものだった。大きさはポストカード程度だろうか。
「なるほどね……」
そう言うと先輩はその紙を僕たちに見せてきた。
「(うげ)」
そこに写っていたのは僕と皆越先輩がふくろうカフェで一緒に撮った写真だった。
「2人は随分楽しんでいたようね」
なぜだかわからないが殺気じみたものを感じる。
「いやそれは……」
「ああそれは2人で一緒に撮ってもらったやつだな。泰君にも渡そうと思って、焼き増ししてもらってたんだ。どうやら落としてしまったと思っていたがこんなところにあったのか」
「へー。ゆかりも許婚というものがありながら他の男の人とこんなことするんだぁ~」
「いやそれは違う……彼は親が勝手に決めた人だし……その、私個人が誰と一緒に居たいとか思っても自由だろ?」
『へぇ!?』
間抜けな声がハモる。
皆越先輩は僕と一緒に居たいと思ったってこと?それがどういう意味か気になるが勇気はない。先輩は自分の言ったことに気付いてないようだし……
このことは聞かなかったことにする。
「まあいいや。で、弥久先輩その写真僕のなんで返してもらえます?」
「い・や・だ(ハート)」
そのまま部室を出て行ってしまった。追いかけたが先輩は足が速く追いつけなかった。
雪本泰がこれまで通り過ごすのは無理そうだった。




