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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
体育祭編
138/216

137話 逃走しちゃダメですか?

 体育祭練習期間の放課後。


 僕と瑠璃は向かい合っていた。


「いい加減諦めたらどうだ」


 瑠璃の額から汗が流れる。


「嫌です」


 一向に引こうとしない瑠璃。


「どうしてそんな頑なに拒否するんだ、もう諦めたら良いじゃないか」


「有名なバスケの先生が言っていました。諦めそうになった時、もう一度立ち上がれるかどうかが天才と凡人の差異だって」


「なんか僕の知ってる、先生とちがう」


 諦めたらそこで試合終了じゃないのか……


「はあ……もうわかったよ」


「ようやくわかってくれましたか」


 瑠璃はさっきまで警戒していたのを僕の様子を見てやめた。


 僕はそのすきを狙って瑠璃を捕まえようとした。


「馬鹿め!わかったのは、お前が力づくじゃないと練習にこないってことだよ」


「泰私を騙しましたね」


 瑠璃は僕を間一髪のところで避けると、勢いそのままに教室を抜けて廊下を走り出す。


「騙してないし、もしそうだとしても騙される方が悪い」


「泰が、騙される側になってもそんなことが言えるんですか」


「そんときは、騙したやつが悪いに決まってるだろうが」


 明らかにおかしなことを言っているのは気づいているが、別に瑠璃を追っかけてるだけなのでどうでも良い。


「泰がめちゃくちゃですーー!」


 瑠璃は一足先に廊下の端までたどり着くと、角を曲がった。


 その先には、上と下の階に行く階段がある。


 つまり、このままだと振り切られてしまいそうだと言うことだ。


「やばいこのままじゃ」


 僕は急いで曲がり角をまがる。


 そして、上に行くか下に行くか迷うまでもなく立ち止まった。


 瑠璃の気配がすでになかったとかでは無い。


 むしろその逆で、曲がったすぐそこに瑠璃がバテて座り込んでいたからだ。


「ゼー、ゼー。わかりましたか……私の体力の無さを……こんなんで更に個人練習なんてできるわけ無いでしょ……」


「あ、いや、うん。……って、さっきあんなにダッシュできてただろ」


 僕はさっきの瑠璃の走りを思い出す。


 危うく騙されるところだった。


「チッ、だいたい作家に体力なんて要らないんですよ。私は指先の筋肉さえあれば生きていけるので」


「たとえ小説書くのに要らなかったとしても、生きていくために必要なんだよ。その体力が。わかったら早くそのたぬき座りをやめて立て」


「たぬきって、疲れてるのは本当ですよ。少しくらい休ませてください」


 ふむ、なるほど。


「それは、休んだらちゃんと練習するってことだな。なんだかんだ言って瑠璃って素直だな〜」


 瑠璃は、しまったという顔をしている。


「いやーこれは、言葉の綾ってやつで……だから、そのー」


 言い訳をしようとしている瑠璃に追撃をする。


「なんだかんだ言いながらも努力する人っていよね。ねー瑠璃?」


 これはかなり卑怯な手だと思ったが、もうやりたいようにさせてもらう。


 彼女からは日頃から散々な目に合わされているのに、自分が馬鹿らしく思えた。


「くっ、痛いところをついてきましたね……」


 瑠璃は苦虫を噛み潰したような顔になっている。


「さっ、早く練習するぞ」


「……わかりましたよ。やれば良いんでしょ」


 結局瑠璃はいやいやながらも、練習してくれるようだ。


 何だかんだ言いながらも努力する瑠璃だった。

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