130話 手紙交換じゃダメですか?
帰りのバスの中。
行きと同じように、加納の隣に座っていた。
さっきの今でとても瑠璃と一緒に座る気になんてなれない。
行きのバスではあんなにうるさかった瑠璃も、今回ばかりは僕を気遣ってくれたのかおとなしかった。
箱に詰められ、鉛でも流されたのではないかと勘違いするくらい体がだるく感じる。
バスの中は静かで、騒いでいるものはいなかった。
むしろ半数は寝ている様子だ。
ただぼーっと外の景色を見ていると肩になにか当たる感触が伝わる。
あまりにも弱かったので気のせいかと思ったのだが、もう一度何かが当たった気がしたのでそっちの方を見てみると、加納がそっぽを向いたままノートの切れ端を押し付けていた。
「(何かあった?元気ないみたいだけど)」
流石にここまであからさまな態度を取っていると心配をかけてしまうのだろう。
「(なにもないよ)」
僕はシャーペンで丁寧に書くとそれを返す。
加納はそれを見て、僕が書いた文字の下に書き加えるとまた渡してきた。
「(嘘……。だって泰何かを隠している時て両手を握りしめる癖があるもん)」
言われてから自らの手を確認して見ると、意識しないうちに握っていた。
加納は僕を見つめてくる。
僕は仕方無しに、どうしたのかを告げる。
「(瑠璃とちょっとね……)」
「(ちょっとって?)」
「(言いたくない)」
そこまで教える義理は無い。
話した方が楽になると言う言葉があるが、それは信頼関係があって初めて成り立つのだ。
僕と加納の関係で成り立つはずがない。
加納は、諦めたようでスマホをいじりだす。
僕は、寝たふりでもしようと目を閉じるが直ぐに加納に起こされた。
目を開けると加納がスマホの画面を向けてくる。
嫌でも目に入るそれにはメッセージアプリが表示されていた。
加納「泰と何かあったの」
瑠璃「泰が何か言ってたんですか?」
加納「うん」
加納「何があったか教えて」
瑠璃「泰はなんて言ってますか?」
加納「教えたくないって・・・」
瑠璃「なら、私から言うことはできません」
瑠璃「ごめんなさい」
加納「うんん、こっちこそごめんね」
そんなログが表示されていた。
僕は加納からメモ用紙を奪い取ると、それに書き込む。
「はぁ……わざわざそこまで。わかったよ言えば良いんだろ」
ノートの切れ端はもうスペースが余り残っていなかったので、自分のノートを新しくちぎる。
そして、事のあらましを書き始めた。




