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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
林間学校編
130/216

129話 わからなくなっちゃダメですか?

 皆越先輩が行ってしまって、しばらくしてから授業が始まった。


 授業の間に、なにか仕返しをしてやろうと企んでいたのだが、実行は疎かプランすら思いつかなかった。


 ずっと解散、集合で全力ダッシュを強いられて、それどころではなかった。


 せめて行進とかにしてほしかった。


 そんなこんなでなんの進展も獲れないまま、ただ疲れるだけで終わった。



「泰大丈夫ですか?」


 来たときに座ってた場所で、今も休んで居ると瑠璃が話しかけてきた。


「まあ、なんとか」


 遅れて朝の出来事を思い出す。


「・・・・・・っ」


 瑠璃はその様子に気がついたのか首をかしげてくる。


「どうかしましたか?」


「いや、なんでも無い」


 明らかになんでもなくないのだが、それで誤魔化す。



「私のこと、迷惑ですか?」


 迷惑?なのだろうか。


 普段は鬱陶しいと思っていたが、改めて考えてみると本当のことはわからない。


 僕は瑠璃に首を横に振った。


「ふふ、泰は優しいですね」


 瑠璃にから向けられた視線は柔らかいものなのに、なぜか心針が刺さったような痛みを覚える。


「そんなんじゃないよ」


 そう。僕のこれは優しさんなんかじゃ無いのだ。


「そうですか……でも、優しさなんて受け取る人が勝手に決めることですからね。本人がどうおもっていようが関係無いんですよ」


「随分自分勝手な物言いだな」


 自分勝手、でも僕のわがままとは少し違う気がする。


「ダメですか?」


「いいや、それで良いよ」


 生唾を飲み覚悟を決めた表情になる。


「だからですよ。よく聞いてください。泰だってもっと自分のやりたいようにやれば良いんですよ。遠慮なんてしてたら、誰かに欲しい物全部持ってかれちゃいますよ。例えば私とかに」


「でも、いや、なんでも無い」


 これは瑠璃に言うことでは無いだろう。


 結局は自分で決めることだ。


「瑠璃は僕が振り向かなかったらどうする」


 それはもちろん言葉通りの意味ではない。


 恋とか愛とかそういうものだ。


 声にした後で、自分は何を言っているのだろうと思う。


「そんなことあるわけ無いじゃないですか」


 瑠璃の答えを聞いて、唖然とする。


「え?どういうこと?」


「そんな真に受けないでくださいよ。恥ずかしいじゃないですか。まあでもそうですね、もし私の思いが届かなかったとしても、それは仕方ないじゃないですか……」


 瑠璃の声は震えて、気がつけば両目から1粒2粒と大粒の涙が溢れてきた。


 その雫はやがて、一筋の流れとなって頬をつたる。


 でも僕が、彼女に声をかけて上げることはできない。


 今涙を拭って上げるということは、受け入れるということだから。


 僕はその責任を取る覚悟はない。


 全く、男ながらに女の子の涙1つ乾かせないとは情けない。


「頑張って、頑張ってそれでもダメだったら私はどうしたら良いんですか?諦める以外に選択肢があるんですか?」


 前と同じ理由で僕は答えることができない。


 そんなことない、とか言えれば違うのかもしれないが、そんな資格は無いだろう。



 結局言おうと思った事も言えないまま林間学校は終わりを迎えた。


 問題を解決するどころか、新たに増やす結果となって。


 もうどうすれば良いのかわからない。


 何もしなければ物語は停滞して、馴れ合いのぬるま湯で過ごして行けると思っていた。


 でも実際は違って、何もしなくてもみんな勝手にどっかに言ってしまう。


 それも皆バラバラな方向に。


 変わらないものなんてなかったのだ。


 僕も心の底ではわかっていたはずだ。


 でも、それを受け入れるのにはもう少し掛かりそうだった。

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