123話 迷子になっちゃダメですか?
「本当にすみませんでした」
深く、深く頭を下げて謝る僕。
他人に任せておけない、とか言いながら自分で迷うなんて情けない。
ただ、こいつらに任せておけばきっともっとひどいことになっていたと思うので後悔はしていない。
「全くどうしてくれるんだよ」
初めにぐちぐち言い出したのは男2人組。
「ごめん……」
僕はもう地面に届きそうな頭をさらに下げる。
も謝っているというより、落ち込んでいるからこうなっているっていうのもある。
「瑠璃は、別に問題ないですよ。こうやって迷うからこそ楽しんですし。(いっそこのままだと結婚するしかないですよね)」
何だか独り言を後で言っていたがあんなの聞こえない。聞きたくない。
「私も、別に良いよ」
加納はなぜか顔を朱に染めながら言った。
「俺は別に、道に迷ったって、良いけどね、楽しそうだし」
手のひら返しとはこのこと言わんばかりの変わり身だ。
大介は、さすがに女子2人が良いと言っているのに、自分がごねるのはまずいと思ったのだろう。
せっかく一緒の班になれたのに、小さいやつだと思われてしまいたくないようだ。
それを見た正明も、「べつに俺も気にしてないし」とか言ってた。
それはどうであれ、自分たちが迷子であるという事実は変わらない。
ないとは思うが、このまま暗くなれば山の中なので遭難とうこともあり得る。
そもそも、今既に遭難しているともいえるのだが。
今すべきことはいち早く、本来のルートに戻ることだった。
「皆さん落ち着いてください」
どうしたものかと悩んでいると、瑠璃が自信ありげに腕を組み仁王立ちをしていた。
いつもはちょっと……かなりアホな瑠璃だが、こういう時には多少心強さがある。
「遭難したときは、むやみに動き回るのは得策ではありません。なのでこうやって木の幹に抱き着いて過ごすのが得策です」
一瞬でも期待した僕が馬鹿だった。
いやまあ確かに、その方法はあるにはある。
ただしそれは、助けが来ることが前提だろ。
こんな小さな、しかもよく整備された山で少し遅くなってもすぐには助けに来てもらえないだろう。
その前に体力が尽きてしまう。
「あの、わかる場所まで戻るのはどう?」
「みゆきん、私のことを無視しないでください」
「瑠璃うるさい。シット。まあ、そうするのが良いでしょうね」
幸い、来た道を戻ることは難しくなさそうだ。
大幅な時間ロスになってしまうが、致し方ないだろう。
なので僕たちは踵を返し、スタート地点の方面へ歩き出した。




