119話 林間学校じゃダメですか?
夏といえば海や夏祭り。
そのどちらも満喫した僕だったが、まだやり残した事がある。
そう、まだ山に行っていないのだ。
夏休みが終わったからておくれと思うかもしれないが、僕たち1年生には夏休み明けに林間学校が待っている。
まあ、特別楽しみにしているわけでは無いが強制なので仕方がないだろう。
学校が始まればそうそう、班決めが行われた。
当然だが、瑠璃がひっついてくる。
嫌だったのだが、加納も一緒だ。
彼女はあの一件以来クラスでは微妙な立ち位置なのでどこに行くにしても居心地が悪かったのだろう。
それを知ってか知らずか、おそらく後者だろうが瑠璃が彼女をいれたのだった。
嫌と言っても、前ほどでは無いので特に追い出したりはしなかった。
周りの友達たちは美女2人に囲まれる僕を妬ましく、もとい、羨ましそうにドロップキックをかましてきたりしたが、僕だって好きでこんなになったわけでは無いのだ。
班決めが終わると準備なんてほとんど終わったも同然で、後はなくても良いような説明や注意事項などを永遠と聞かされる。
僕は先生の話を適当に聞き流しながら、しおりに書いてある予定を見ながらただ時が立つのを待っていた。
それがバレて池田先生からメディウム(ハードカバーの本)でぶっ叩かれた。
相変わらず適当に聞き流していたので何をしていたかあんまりわからないが、当日が来た。
一同はピロティーに集められ、開会式が開かれる。
終わると各クラスごとにバスに乗り込んだ。
他のクラスは知らないが、席順は自由で良いと言っていたので適当に座ろうかと座席を見回してみる。
入るのが遅かったせいか、殆どは埋まっていた。
瑠璃がめっちゃこっちを見ていたので無視するわけにもいかず、そこに座ろうと向かった。
しかし、加納もまた、1人で座っていたので僕はそっちへ向かった。
瑠璃は割と人気があるみたいだったが、最近の加納は瑠璃と居る時以外はいつも1人だ。
瑠璃は、明らかに周りから気を使われて空いているのだろうが、加納の隣は避けられているからだろう。
僕が加納のもとへ行くと瑠璃は残念そうな顔をするが、すぐに仕方が無いなといった様子で諦めていた。
加納は僕がこっちに来るとは思いもしなかったのか、目を見開き驚いている。
「なんで?って顔してるな」
加納はものも言えずただ頷く。
「1人でいるのが可愛そうと思っただけでよ。別に何か話しかけるとかまではしないから。僕はもう寝る」
向こうだって僕と話していても大して楽しくないだろう。
だから、日本人の電車やバスでの必殺技寝るを使って、会話のない気まずさを回避した。
いやーほんと便利。




