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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
夏休み編
115/216

114話 謝罪しちゃダメですか?

 人数を倍にして探し出してみたものの、そう簡単に見つかることはなかった。


 祭りの賑わいとは正反対に静かな僕たち。


 あれからというもの特に会話がなされることはなかった。


 残り時間は30分ほどになった。


 今までノンストップで探していたが、夏の暑さと人の熱気もありだいぶ疲れてきた。



 僕は目に入った屋台でラムネを2本買う。


「ほら、これやるよ」


 そしてその片方を加納に渡した。


 しかし微妙な表情をしたまま受け取ろうとはしない。


「もしかして嫌いだった?」


「いや、そういうわけでは……」


 それならと、彼女の方に更に差し出す。


 だが、やはり受け取ろうとはしなかった。


「まったく。上げるって言ってるんだよ。熱中症にでもなったら困るのは僕なんだからな」


 そこまで言ってようやく受け取ってくれた。


「確か200円だったよな……」


 財布から小銭を取り出そうとする。


「あーもう、言わないとわかんないの?お礼だよ、探すの手伝ってくれているお礼。先に渡しとけば頑張らざる得ないだろ?」


 加納は元気のなさそうな笑い声を出す。


「雪本はやっぱり優しいな。だから瑠璃も……いや、なんでも無い」


 そして良いかけてやめた。


 瑠璃とはなぜだかあんなことがあったのに仲良くしている。


 そこで何か話すことがあったのかもしれないが、僕に知る由もないし、知る気も無い。



 加納は電球の切れかけた提灯を見ている。


 ラムネにはまだ口をつけていない。


「あのさ、あの時は本当にごめん。すまなかったと思ってる」


 あのときとは、瑠璃のことをバカにしたときのことだろう。


 今思えば僕もかなり冷静じゃなかった。


 きっと瑠璃のために怒っていたのでは無いのだろう。


 自分の為。


 そう、自分がバカにされてるみたいで、怒りが湧き、歯止めが効かなかった。


 悪いことをしたとは思わないが、みっともなかったとは思う。


 しかし、許せるかどうかは別だ。


「謝られても、僕は君を許せない」


 加納は黙って唇を噛んでいた。


 時折、開きかけてまた噤む。


 離れた瞬間見ると血が出そうなほど歯が食い込んだ痕があった。



「僕は瑠璃ほど心が大きくないみたいでね」


「そんなことは……」


 言いかけた加納だったが、自分がそんなこと言える立場にないと思ったのだろう。



「そっか……」


 加納は何かを決意したように少しだけ前に進み振り返ってきた。


「許してもらえないなら、許してもらえるまでこの罪償わないとな」


 彼女は何かを決意したような表情になる。


「私は、みんな探し出すから。雪本は待ち合わせ場所とやらで待ってて」


 僕の返事を聞かぬままに飛び出していってしまう加納。


 待ってるだけというわけにもいかず、僕はまた1人で探し始めた。


 ちょっとぬるくなったラムネはもう不味かった。

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