113話 一緒に探しちゃダメですか?
あれから直ぐに会場へ戻った。
本会場はさっきと変わらず、むしろ今のほうが多くなっている。
すれ違う人に注目してみるものの、何しろ1人で捌ききれる量を超えている。
そうでなくともそこそこ広い会場で彼らを見つけるのは困難極まりないのだ。
時折、もう一度電話もかけてみるが、つながる様子はなかった。
良い方法が見つからないまま、闇雲に歩き回る。
そんなことでは当然見つかる訳もないのだ。
「あれ?雪本?」
後ろから名前を呼ばれた。
聞いたことのある声の気もするが誰だったか思い出せない。
声の主を探そうとするが、なにせ母数が多すぎる。
僕はキョロキョロ戸当りを見回していたのでさぞ間抜けなことだっただろう。
「こっちこっち」
もう一度声がしてようやく見つける。
頭の上で手を振っていたので見つけることができた。
僕を呼んでいたのは金髪ギャル。
加納美幸だった。
「どうしたんだ」
僕は彼女があまり好きでは無い。
それは加納美幸も同じことだろう。
「いやその、なんか困ってるみたいだったからさ。前に迷惑かけたから、なんていうか罪滅ぼし?でもと」
彼女はあの頃から変わったみたいだった。
瑠璃が言っていたことだが、信じられなかった。
でも、こうして目の当たりにすると認めざる得ない。
だからといって、僕が許したわけでは無いのだが。
「困ってはいるかな」
それを聞いて不安に満ちた表情が若干明るくなる。
「それなら、何か手伝わせて。ほらあたし何でもするし」
一瞬、何でも?と思ったが、冷静になって考えると加納になにかさせたいこととかなかった。
なので普通に先輩たちと瑠璃を探すのを手伝ってもらおうと思う。
「うん、わかった。じゃああたしはこっち見てくる。えっと見つかったらどうしたら良いかな?」
あまり考えてなかったが、この場で2人で探すのは大変なことに気がつく。
待ち合わせ場所を決めておいて、見つけたらそこに連れて行ってもらうか?など考えてみたが、結局は一緒に回って探すことにした。
効率は悪いかもしれないが、そもそも2手に別れたところで連絡手段もないのだ。
ならば、単純に目を2倍にして一緒に回った方が良いだろうと考えたのだ。
それを聞いた彼女は戸惑っていたが、素直に納得してくれた。
僕も、わざわざ嫌いな人と一緒に祭りを回りたくなかったが致し方ない。




