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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
夏休み編
109/216

108話 皆越ゆかりじゃダメですか? 3

「おにぃさんどうしたの?」


「どうしたのって言われてもな。会いに来たんだよ。約束したろ?」


 あれ違ったっけ?と書いてある兄さんの顔は面白かった。


「でも、どうやったの?そもそもおにぃさん勉強教えれたんだね」


「失礼な。こう見えてもそこそこ勉強できるんだよ、俺」


 見た目からは想像できなかった。


 それも、今までの家庭教師は誰もがかっちりとした身なりできつい顔立ちだったからなのかもしれない。


 そこからするとこの人は人の良さそうな顔をしている。


「何、どうせ疑ってるんだろ?」


「そんなことは無いけど……」


 言葉では言ったもの、私が疑っているのは日を見るより明らかだったのだろう。


「そこまで疑うなら見せてやろう……」


 兄さんは持ってきていた鞄から何か紙みたいなのを出した。


「なにこれ?」


「これはな、何を隠そう彼のハーバード大学の卒業証書だ!まあ、偽物だけど」


「偽物なんだ……」


 後で分かったことだが、卒業証書が偽物なのは本当だったが、実際にハーバード大学を卒業してるみたいだった。


 更に日本の難関大学も出ているらしい。


 何はともあれ変わった人であることに変わりは無いのだが。


「ゆかりちゃんもうここの範囲できるんだ。凄いね」


 兄さんは私ができると褒めてくれた。


 今までは、できるのは当たり前で褒められるなんてことはなかったので最初は少し戸惑った。


 でも、褒めれるのは嬉しかった。


 初めのうちは兄さんが担当するのは1時間だったのだが、次第にその時間は増えていった。



「ゆかりちゃん、勉強って好き?」


 当時の私にはその質問の意味がわからなかった。


「好きとか嫌いじゃなくて、やんなくちゃダメなんだよ」


「そうなのかな?本当に?」


「そう・・・だよ?」


「俺は違うと思う。少なくともこんな風に無理やりやらされるのはね」


 兄さんは悲しい目をする。


 まるで過去の自分と私を照らし合わせて居るような。


「好きなことだけをやって生きてくのが本当は良い。でも、実際は嫌なこともしなくちゃいけない。だからと言って、嫌なことするために好きなことができなくなるのは違うと思うんだ。勉強や仕事はやりたいことをするためにやるものだと思うから」


「えっと……どういうこと……?」


 意味はもちろん分かる。


 でも、それがどういうことかわからなかった。


「つまり、子供はもっと子供らしく遊べってことだ」


「でも、遊んでたら怒られちゃう……」


「大丈夫、俺に任せろ。まあそのためにも今は勉強だな。楽しみが待ってればやる気も出るだろ?」


 兄さんは楽しそうに言う。


 その、悪戯を企む少年のような顔は今でも心の奥ではっきりと刻まれている。

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