ボクシング部
「右っ!左っ!」
今日のA子はリングの上で華麗にステップを踏んでいます。
「すごいわね」
リングの下では、そんなA子をB子が眺めているようです。
今度は何をしているのかというと、二人は今ボクシングをしているのです。
二人というか、今はA子だけなのですが。
「右っ!左っ!」
そのA子は先ほどから、グローブをはめて右ストレート、左ストレートを交互に放っています。
相手は勿論サンドバッグ。女の子ですが、中々にいい音を響かせています。
「わ、私もやってみたいな……」
そんなA子がかっこよかったのか、B子も自分でやりたくなってきたようです。
「よし、じゃあ代わろー!」
A子も少し疲れたのか、額を伝う汗を拭いながらB子にグローブを手渡しました。
グローブを受け取ったB子はそのままグローブをはめて、リングの上へとあがります。
「わっ、ちょっと高いね……」
およそリングの上へ初めて上ったB子は、そこからの景色に少し感動しているようでした。
「ほらほら!やってみなよ!」
しかしA子はそんな景色は興味ないというように、サンドバッグの隣に立ちB子にはやく打つようにいいます。
「わ、分かったわよ……」
初めてのボクシングなので、B子は少し緊張しているようでしたが、先ほどのA子の姿を思い浮かべながら腕を思いっきり振り上げます。
「右っ!」
A子と同じようにかけ声をいいながら右ストレートを打ちます。
ポスッ。
しかしA子の時とは違い、気の抜けたような音が響きました。
そしてさらに……、
「い、いたっ!」
「えぇっ!?」
どうやらB子は一度サンドバッグを殴っただけで、拳を痛めてしまったようです。
「だ、大丈夫っ?」
「大丈夫じゃない〜!」
よっぽど痛かったのか、それとも単にボクシングをやりたくなくなったのか、B子はグローブをA子に渡してそのままリングを降りてしまいました。
結局その後、A子もすぐにボクシングをやめ、二人でB子の手を冷やすために保健室にいったそうです。




