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二人の世界  作者: 降木 星矢
学校編
77/100

ボクシング部

「右っ!左っ!」

 今日のA子はリングの上で華麗にステップを踏んでいます。

「すごいわね」

 リングの下では、そんなA子をB子が眺めているようです。

 今度は何をしているのかというと、二人は今ボクシングをしているのです。

 二人というか、今はA子だけなのですが。

「右っ!左っ!」

 そのA子は先ほどから、グローブをはめて右ストレート、左ストレートを交互に放っています。

 相手は勿論サンドバッグ。女の子ですが、中々にいい音を響かせています。

「わ、私もやってみたいな……」

 そんなA子がかっこよかったのか、B子も自分でやりたくなってきたようです。

「よし、じゃあ代わろー!」

 A子も少し疲れたのか、額を伝う汗を拭いながらB子にグローブを手渡しました。

 グローブを受け取ったB子はそのままグローブをはめて、リングの上へとあがります。

「わっ、ちょっと高いね……」

 およそリングの上へ初めて上ったB子は、そこからの景色に少し感動しているようでした。

「ほらほら!やってみなよ!」

 しかしA子はそんな景色は興味ないというように、サンドバッグの隣に立ちB子にはやく打つようにいいます。

「わ、分かったわよ……」

 初めてのボクシングなので、B子は少し緊張しているようでしたが、先ほどのA子の姿を思い浮かべながら腕を思いっきり振り上げます。

「右っ!」

 A子と同じようにかけ声をいいながら右ストレートを打ちます。


 ポスッ。


 しかしA子の時とは違い、気の抜けたような音が響きました。

 そしてさらに……、

「い、いたっ!」

「えぇっ!?」

 どうやらB子は一度サンドバッグを殴っただけで、拳を痛めてしまったようです。

「だ、大丈夫っ?」

「大丈夫じゃない〜!」

 よっぽど痛かったのか、それとも単にボクシングをやりたくなくなったのか、B子はグローブをA子に渡してそのままリングを降りてしまいました。


 結局その後、A子もすぐにボクシングをやめ、二人でB子の手を冷やすために保健室にいったそうです。

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