陸上部
「競争しよう!」
「何で?」
「徒競走で!」
ここはグラウンド。
二人の目の前には丁度いい感じのレーンが引かれています。
「……なんでこんな物が」
ほんと、なんででしょうね。まぁ、この世界の事にいちいちつっこんでいてはきりがありません。
「じゃあ勝ったら賞品つけよう!」
「賞品?」
「そう!もし勝ったらなんでもゆうことを聞く権利を与える!とか」
「なんでもゆうことを聞く権利ね……」
ちょっと女の子がそんな事権利あげちゃっていいんですか?もし、その権利が悪い大人に渡ったら…………失敬、妄想が膨らみました。そもそもこの世界には悪い大人どころか、この二人しかいませんもんね。
「なんでも……なんでも…………」
とそうこうしている間にB子がなにやら気味の悪い顔をしています。
……もしかしてこっちも何か妄想でもしているのでしょうか?
「で?どうするの?」
「し、仕方がないなー、や、やってあげようかー!!」
台詞棒読みで、しかも興味なさそうでめっちゃやる気満々なB子さん。
一体どんな妄想をしたんでしょうか。何でもゆうことを聞く権利で。
「よし!じゃあ早速やりましょう!」
「えぇ!やってやるわよ!」
おっと、そうこうしている間に二人はそれぞれのレーンの上に立っています。二人とも俄然やる気満々ですね。
「――よし、じゃあせーのでいくよ?」
「うん」
「「せーのっ!」」
二人同時のかけ声で、二人同時にスタートしました。
両者一歩も譲らぬレースが幕を開ける…………と言いたい所ですけど、B子は運動音痴ですから、そりゃすぐA子に抜かれますよね。
「なっ!ど、どうしてっ!?」
しかも本人はA子に抜かれたことにひどく動揺を表しています。
なんですかこのポンコツB子は?
「――ゴールっ!」
そしてその間にA子はあっさりゴール。
一位はA子に決まりました。
「……それで何をお願いするのよ」
走り終わった後、二人で日陰に移動し休憩しています。
そして早速B子がA子に権利の使い道を尋ねます。
「え〜と……どうしようっかな〜……」
(ごくり……)
A子の言葉にB子は生唾を飲み込みます。
……どれだけ緊張しているんですかB子さん。
「じゃあ私とこれからも一緒にいてね!」
「え?」
「だから〜、これからも私と一緒にいて、一緒に遊んでね?約束破ったらだめだからね?」
A子の言葉にB子は呆けたように口を開けています。
しかしすぐに言葉の意味を理解したのか、B子は顔を真っ赤にして伏せました。
「…………当たり前でしょ」
そしてか細く小さな声で返事を返します。
「…………」
それをこちらも顔を赤くし伏せているA子が聞いているのでした。




