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二人の世界  作者: 降木 星矢
学校編
51/100

陸上部

「競争しよう!」

「何で?」

「徒競走で!」

 ここはグラウンド。

 二人の目の前には丁度いい感じのレーンが引かれています。

「……なんでこんな物が」

 ほんと、なんででしょうね。まぁ、この世界の事にいちいちつっこんでいてはきりがありません。

「じゃあ勝ったら賞品つけよう!」

「賞品?」

「そう!もし勝ったらなんでもゆうことを聞く権利を与える!とか」

「なんでもゆうことを聞く権利ね……」

 ちょっと女の子がそんな事権利あげちゃっていいんですか?もし、その権利が悪い大人に渡ったら…………失敬、妄想が膨らみました。そもそもこの世界には悪い大人どころか、この二人しかいませんもんね。

「なんでも……なんでも…………」

 とそうこうしている間にB子がなにやら気味の悪い顔をしています。

 ……もしかしてこっちも何か妄想でもしているのでしょうか?

「で?どうするの?」

「し、仕方がないなー、や、やってあげようかー!!」

 台詞棒読みで、しかも興味なさそうでめっちゃやる気満々なB子さん。

 一体どんな妄想をしたんでしょうか。何でもゆうことを聞く権利で。

「よし!じゃあ早速やりましょう!」

「えぇ!やってやるわよ!」

 おっと、そうこうしている間に二人はそれぞれのレーンの上に立っています。二人とも俄然やる気満々ですね。

「――よし、じゃあせーのでいくよ?」

「うん」

「「せーのっ!」」

 二人同時のかけ声で、二人同時にスタートしました。

 両者一歩も譲らぬレースが幕を開ける…………と言いたい所ですけど、B子は運動音痴ですから、そりゃすぐA子に抜かれますよね。

「なっ!ど、どうしてっ!?」

 しかも本人はA子に抜かれたことにひどく動揺を表しています。

 なんですかこのポンコツB子は?

「――ゴールっ!」

 そしてその間にA子はあっさりゴール。

 一位はA子に決まりました。


「……それで何をお願いするのよ」

 走り終わった後、二人で日陰に移動し休憩しています。

 そして早速B子がA子に権利の使い道を尋ねます。

「え〜と……どうしようっかな〜……」

(ごくり……)

 A子の言葉にB子は生唾を飲み込みます。

 ……どれだけ緊張しているんですかB子さん。


「じゃあ私とこれからも一緒にいてね!」


「え?」

「だから〜、これからも私と一緒にいて、一緒に遊んでね?約束破ったらだめだからね?」

 A子の言葉にB子は呆けたように口を開けています。

 しかしすぐに言葉の意味を理解したのか、B子は顔を真っ赤にして伏せました。

「…………当たり前でしょ」

 そしてか細く小さな声で返事を返します。

「…………」

 それをこちらも顔を赤くし伏せているA子が聞いているのでした。

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