自分じゃ気づけないこと。
キャラクター紹介文でも書こうかな…
その方が落ち着けそう。
「朝ごはんできたぞーい」
「俺持ってくよ」
「いや、お前はおとなしくしとけよ…」
邦彦はあれ以来率先して家事を手伝ってくれるが、これは俺のストレス発散の一つでもあるので譲れない。ってか、怪我治ってないんだからおとなしくしててください!
「由紀!ドラマ見てないでお前が取りに来いよ」
「……」
あのガキ無視か!友ちゃんも邦彦に呼ばれるが、テーブルに突っ伏して寝ている。
仕方がないので邦彦に一つ持ってもらい、朝食を並べる。
「ねぇ、なんでいつも由紀ちゃんのだけ目玉焼きじゃなくてプレーンオムレツなんですか?」
「そういえば確かに」
「こいつ、目玉焼きの黄身苦手なんだよ。だから残させないように混ぜてオムレツにしちゃうの。」
そう。こいつは変な好き嫌いがあるので時たまこうして食べないなら別のものにしてしまうようにしている。
「ふーん、なんで苦手なの?」
「んー、せっかくこの美味しい白身部分がこの半熟やら硬くなって味の濃い黄身によって妨害されるのが好きじゃないんだよね…」
何を言っているのかわからず、頭の上にハテナを浮かべる2人。
安心してください、我が家でも理解できるやつは誰一人として未だに居ませんから。
「とりあえず食べちゃお、」
「「「「いただきまーす」」」」
朝食を終えて各自自由時間とする。
俺としては二人追加されたことによって食料の補充と装備の補充をしたいのだが、邦彦は今も負傷中。由紀と友ちゃんはなるべく外に出したくない。そのため、家にあるものでなんとかしなくてはならない。
「よくこんなに食料あるね。」
「まぁ、あの日のうちにワオンで色々揃えたからね。」
「……ザキってそんな頭回るっけ」
「もし世界がゾンビだらけになったらどうしようかなとか昔からよく考えてたんだよ。」
「あー、な、なるほど」
邦彦は納得するとプルプル震えながら笑いを堪えていた。
なんかムカつくから一発殴っとこうか…
正直もう下ろしたお金も底をつき始めているので、なるべく拝借するようにしている。
もうこんな状況なら法もあってないものだろうし。
時々玄関を出て廊下を見渡すとドアが開きっぱなしになっていたりする部屋がある。
以前救助に来た自衛隊の元に行ったのか、
または、どこか安住の地を目指したのか…。
上のフロアはどうなっているかはわからないし、見に行くのは後でもいいだろう。俺は空いてる部屋を見つけては米や缶詰、その他工具など集めて来ている。
簡単な作業なのでこれに関してはみんなで行くことにした。
今日は踏み抜き防止の靴やライダースーツなど役に立ちそうなものも見つけられることもでき、最初に思ってた不安要素は少し取り除けた。
部屋に戻り由紀と友ちゃんはDVDを見ながら何やら筋トレやら柔軟をしている。
この二人中学時代は同じ剣道部で部長副部長を務めていたほどなのだ。由紀は見ての通りだが、友ちゃんはおとなしそうに見えて、実は由紀並み…いや、それ以上にたくましいらしい。類ともと言うやつなのだろうな。
「そういえばなんでお兄ちゃんはボウガン使う時股間狙うの?」
「いや、生きてる男なら誰でも痛いだろアレは」
「無駄かもしれないのによくやるよね…」
「あの叫び声まだ覚えてますよ……」
でも実際にヒットすれば血の気も引くレベルで焦るしいいと思うんだけど……。
これからは目とか心臓狙うべきか…。
「んで、かっちゃんとかみんなに連絡はしてるの?」
「この間、篤紀から連絡は来たよ。生きてるか?だって。他は分からん。」
「え、連絡とろうよ。」
「んー、長いこと話してないからどう声かけるべきか…」
すると、3人はうわぁという顔をしていた。
え?何か変なことでも言ったかな?
だって、なんか気まずい感じするじゃん!!
「お兄ちゃん、男が恋する乙女みたいなこと言わないでよ…」
「そう見えたの!?」
「とりあえず、いつものメンバーには俺も連絡してみるからさ連絡とろうよ」
しばらく4人で連絡を飛ばし続けてみると、
俺と邦彦の方は返信がきた。
「大和に利伸、太輔にナッさんは無事だって!神奈川にドライブ行ってたらしいぞ」
「かっちゃんや他のみんなも無事らしい。ただ家族がどうなったか分からないからみんな家に向かってるって」
「私たちは…」
「うん…みんなおじいちゃんおばあちゃん家の方に行ってるって行ってたから多分大丈夫だとは思うけど、返信がこない……」
大和たちは今車を乗り継いで、代わる代わる運転しながらこっちに来ているらしい。
由紀達の友人も無事だといいのだが……。
「大丈夫!由紀や友ちゃんの友達なら生きてるだろ。みんな話聞く限りだとたくましいし!いざとなったら助けにいけばいいしね!」
「そうそう!」
まぁ、俺と由紀の友達は正に類友と呼ぶにふさわしいくらい癖の強い似たような友人ばかりだし無事だろう。
大和達には家族が無事か確認してもし行くところがなければウチに来るように話をつけておいた。各自家の食料を持ってこれるだけ持ってきてくれるらしいし、助かった。
すると、窓の外から車の急ブレーキがかかる音が聞こえてきた。
と、同時に携帯の電話が鳴る。
篤紀だ。
「もしもし?」
「もしもし!ごめん、今家の前の桜の隣にいるんだけど紐かなんか垂らして…うわっっ!しっしっ!こっちくんな!」
ベランダから見るとバック二つ背負って車の上に立ち奴等の頭をバールで叩いている篤紀がいた。
「おー、久しぶり。紐これで大丈夫?」
「おぉ、足場までついてるんだね。スゲぇ!助かるありがと!」
篤紀を部屋にあげ、水を渡すと勢いよく飲み始め、しばらく落ち着くのを待っていた。
「落ち着いた?」
「うん、ありがと。」
「んで、どうしたの?バイト先で避難してるって言ってなかった?」
「そうだったんだけど……」
話を聞き進めていくと、どうやら食料調達中1人が負傷したことを黙っていて朝起きるとゾンビ化が進んでいて、命からがら逃げ出し、乗り捨ててあった車を使って避難生活をしている時に俺らからのメールが届いてこっちに向かってきたらしい。
「うん…だから、悪いんだけどさ、しばらく泊めてくれないかな」
「うん、いいよ。人は多い方が外に出やすくなるしね」
「ありがとう」
話し終えると由紀と友ちゃんが部屋からリビングにやってきた。
「あ、篤紀くんお久しぶり久しぶりです!」
「は、はじめまして…」
篤紀は昔からよくウチに上げていたので由紀とも面識があるが友とは初対面だったらしくなんだかぎこちない様子。まぁ初対面ともなればこんなものだろう。
邦彦に紹介は任せて、俺は外に出してある黒いゴミ袋のお湯を風呂に入れもう一度水を外に出し、篤紀を風呂に入れた。
一気に緊張がほぐれたのか、バスタオルを渡しに言った時、風呂場から声を我慢してすすり泣く篤紀の声が聞こえてきた。
「風呂ありがとう。久しぶりに浴びたよ」
「おぉ、替えの服は持ってるん?」
「コンビニで拝借したのあるから下着はあるけど服がな…なんか貸してくれない?」
「部屋着でよければあるからいいよ。もしサイズデカかったら隣の家とかからもらおう」
「え、人いないの?」
「みんな殺されたり逃げたりでこのフロアはほぼほぼ人居ないよ」
「そっか……」
少し悲しそうな表情をする篤紀。
今日はまだ良いもんでも食わせてやるか。
肩をポンと叩いて、台所へ向かう。
肉は…あ、冷凍してたやつももうないか…
しゃーない。鯖缶でハンバーグでも作ろう
「あ、ご飯?」
「そそ、もう暗くなるしな、机の上にろうそく立てといてくれ。今日はハンバーグだぞよ?まぁ、鯖のだけど」
「あーもしかして俺も作ってくれてる感じ?」
「お前の分作らないとかどんなイジメだよ。食料はまだあるし、なくなれば取りに行けば良い。まぁその時は同行してもらうけどね?」
「いや、あー…。ありがとう。」
「おう!遠慮しなさんな。こういうので揉めたくないしな。」
「だね。俺が持ってるのもこっち置いておく?」
「あー、ならそこの横に表があるだろ?そこに食料の名前と消費期限と個数書いて置いてくれ。置き場所はバックに入れっぱでいいからさ」
「なんか、すごいね……。」
「厨二全開でこういう時どうするかって考えまくってたからね。篤紀もよく一緒に考えたりしてたろ?」
「あー、そういえば。」
篤紀とはメンバー内でも特によく会い連絡もして居たため、思い出話が多い。2人で思い出話に花を咲かせていると、邦彦もやってきた。
「久しぶり!」
「久しぶり……って、そういえばその傷どうしたの?」
「まぁ、ちょっとね。篤紀こそ大丈夫?」
「俺も一時はやばかったけど見ての通り、引っ掻かれたり、噛まれたりもしてないから大丈夫!」
「よく、シャベルで生き残れたよな」
「あ、あのベランダのシャベル篤紀のだったんだね。」
「アレと刺股くらいしかなかったからね。むしろシャベルがあってラッキーだった」
「なにぐらしだよっておもったよ」
狭い台所で男3人、駄弁りながら夕食の準備を進めていると、由紀と友ちゃんが隣部屋から何かないか探してきてもいいかと聞きにきた。
邦彦はまだ負傷中、篤紀もまだよくわからないだろう。
少し考えていると
「ねぇ、それ後は焼くだけだよね?」
「なら俺らでもできるから言ってきなよ」
「そ、そう?ならごま油で焼いたあと、蒸し焼きにして…」
焼き方とソースの作り方だけ伝えて、由紀達についていった。
▼△▼△▼△▼
ザキを友と由紀ちゃんについていかせて、
俺と篤紀は料理の続きを始めた。
正直1人だと厳しいけど篤紀が率先して手伝ってくれるため、片手が使えない俺は調味料の用意などに回ることにした。
「それにしても、ザキ元気そうだったね。」
「うん…」
浮かない表情の篤紀。やはり疲れているのかな。
「でもさ、なんか、雰囲気変わったよね」
「あー、たしかに。落ち着いたっていうかなんか違うよね」
「それがなんか気になってさ。」
ザキと篤紀は小学校の頃からずっと一緒に色々やってたからか、ザキの微妙な変化に気づいているみたいだ。
「…俺、今年の5、6月に一回あったんだけど、なんか…すごい死んだ目しててさ。」
そういえば、そっとして置いてあげようと声をかけたのも篤紀だった。
そういえば友が言っていたけど、ウチに侵入してきたあの2人。ザキは躊躇いなく殺してたらしい……。
「そういえば…。」
「ん?」
篤紀に全てを話すと、やっぱり少し気をつけて置いた方がいいよなという結論に至った。
おそらく、俺たちに危害は加えないだろうけど、精神的な方が心配だからだ。
「ここの食材も、薬も、ガスも当日揃えたんだってさ。」
「それはすごいよね。よく持ってこれたよ」
「ほんとにね。」
2人で話しているとザキ達は帰ってきた。
今日からはもっとザキの方にも注意しないとな…。