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材料集めも楽じゃないよ。

訂正ご指摘等ございましたら遠慮なくコメントください。

もちろん感想も募集して降ります。


7月某日。

外は暑く、以前よりも腐った肉の匂いと焦げ付く匂いは増す一方。


由紀は二度寝をしている。そして俺は日課の洗濯と奴等の観察中。買い足した食材は消費期限と相談しつつ、冷凍庫で凍らせてなるべく長持ちするようにはしている。


今朝は奮発して作りすぎたな。少し苦しい。


とりあえず、さっきみてわかった分だけでもノートに書いておこう。


昨日と今日でなんとなくわかったが、奴等は基本鈍い。例外として、走るタイプ見たいのも居た。昨日の子供なんか良い例だろう。


外にはこの騒ぎで頭のおかしくなった奴やゾンビを轢き殺しまくってる地元ヤンキー、あとはゾンビくらいしかいない。


また、奴等は頭を潰すと動きを止める。これはアニメなんかでもそうだが、なんでなんだろうな。まぁ、弱点わかっただけいいだろう。また、目はそこまで見えてないらしく、音に敏感だ。だからさっきバイク乗り回してたヤンキーもめっちゃ引き連れてらっしゃる。


たまにベランダにゾンビの肉片なんか投げてくる輩もいるが、ガス銃と接着剤付き防犯ブザーでお返ししている。


今朝それを見た由紀にドン引きされたのは言うまでもない。


そして何より奴等はかなり力が強い。前回は子供だったというのもありなんとか抑えられたが、相手が成人男性くらいで由紀が襲われてたら……。

いや、由紀意外と力あるんだよなぁ。

まぁ、だとしてもだ。なるべく戦闘は避けたい。俺は玄関の覗き穴から外を確認し家の前の廊下の補強を確認してまた部屋に戻った。


しばらくゾンビアニメを鑑賞しているとドアを叩く音がした。由紀が起き始めたのだろう。

ドアと開けると眠たそうにしつつ不機嫌な由紀が一言。


「暇」


「……ゾンビアニメでも見るか?」


「ゾンビは見飽きた。とりあえず入れて」


「お、おけまる…」


え、なにこの空気!そういえば俺の部屋に由紀が入るのってかなり久しぶりじゃね!?

ええぇ、大丈夫?臭くないよね!?

なんか会話ぁぁぁ!!


「ねぇ…なんかおもちゃ増えたんじゃない?」


「い、いや、これはおもちゃじゃないんだ。割とガチなものばっかで…ほら、このトランシーバーなんて本物なんだよ!」


「へー。あー、そういえば昔トランシーバー使って部屋の中でかくれんぼしたね」


「よく覚えてるなお前」


「お兄ちゃん、風呂の中に隠れてたんだもん。あれは今でも笑える」


「隠れるのは得意だったからな!」


「陰が薄いだけ…」


ボソッとまた鋭利な言葉で刺してくるんだもんなぁ。しかも油断してる時に!!

お前は暗殺者か!


「ねね、このノートなに?」


「お前さんが寝てる間にまとめたんだよ。現状整理、奴等の特徴。その他諸々」


「うへー、こういうのはノリノリでやるよね。勉強もこのくらいしてくれればねぇー」


「やめろ、それかなりクるから!!お願い!!」


「そ、そんな泣きそうな顔で言わないでよ…」


いや、俺の現状こないだまで人生終わったとか思ってたやつだぜ?今は世界終わってるけど。


「と、とにかく!これからのこと話そう」


「んー、そうだけど。どうするの?自衛隊とか助け待つ方が…」


「たしかに、セーフゾーン見たいのは作られるだろうし、1ヶ月くらいなら耐えられそうだけど、集団生活ってなかなか上手くいかないらしい。学校なんていい例だろう?それに加えてこの状況だ。それを考えれば少人数でいた方がいいだろ。」


「学生の私にそれを言うか…。まぁそれで?」


「食料もかなり買い足したし、少なくとも1ヶ月以上はなんとかなりそうだから、とりあえず立て籠もる。あと、精神衛生のためにも体力のためにも多少の運動は部屋の中で出来る限りしよう。水とかガスとか電気も1ヶ月は保つはずだ。問題はそこからなんだけどな。」


「んー、警察とか自衛隊が助けてくれそうじゃん?」


「その集団の中でもゾンビ化がされていたら、俺らを助けるほど余裕はないだろ。

つまりは自分の身は自分で守るしかないんだわ」


「そっか…んー、木刀でなんとかなるの?」


「あー、それなら大丈夫だ!ちゃんと頭割ればもう簡単に…」


…………しまった。

気づいたら由紀はそれはそれは冷たい絶対零度のような視線を浴びせてくる。

お兄ちゃん、そっちの気は無かったはずなのに、なんか目覚めちゃいそう……。


「なに頬赤らめてるの。ってか、さっきのすでにやったことある風だけど。悠、こないだ帰ってくる時もそんなことしてなかったよね。…………まさかまた、行ったの?言いなさい‼︎‼︎‼︎」


マズイ。非常にマズイですよ。

この子が俺を『悠』って呼び捨てる時は120%ブチキレてる時だ。俺もだけど由紀はテンションで口調がコロコロ変わる。

お互い相手の口調で機嫌の見ているわけだが、これは非常にマズイ。

親に悪いことが見つかった子供並みにオロオロする俺を由紀はジッと睨みつける。


「え、映画や漫画なんかじゃ……」


「ふーーん。でもさ、あの話し方は嬉々としてやった事を話をする時の話し方だったよね??」


履いてたスリッパを片手にもう片方をペチペチしている。コワイ…。


「はい。実はワオンに行った時に試しました。」


「ほぉ……?それで?」


「いや、子供のアレだったから特になにもありませんでした…はい。ごめんなさい」


思わず正座をしてしまいましたよ?これ、お兄ちゃん的に非常に情けなくない??大丈夫?大丈夫だよね?。

言い訳を聞き呆れたのか納得したのか、スリッパは納めてくれました。


「ぐふぅ!!」


由紀の拳はそれはそれは綺麗に俺の鳩尾をねじり込むかのようにヒットした。


「馬鹿!!そう言うことはちゃんと言う!!あの時なにも無かったって言ったよね?!ほんと、馬鹿じゃないの!?」


「す、すみませんでした!!」


「ったく、次はないよ?」


はい。申し訳ございません。としか言えない。その後果物やアイスで機嫌を取りつつ、前回のゾンビ戦の経験から話を進めた。


〜奴等の特徴〜

・ゾンビは鈍いぞ!

・例外はたまに居るから少し注意!

・階段は登る系ゾンビだ!

・力が強い!

・音に敏感!


「こんなもんかね。」


「なんでゾンビって力強いの?」


ほう。良い質問じゃね由紀くん。


「人間のリミッターが外れてるからな。人間リミッター解除したらボルトより速く走れるぞ」


「うぇ…」


「まぁ、そういうことだね。とりあえず、夕食にするか。」


「もうこんな時間だもんね!」


その日は冷蔵庫の長期保存できないものシリーズでまた軽く食事を作った。

なるべく缶詰とかは使いたくないしな。



夕食後俺はベランダのフェンスに画鋲を接着剤で並べてなんちゃって有刺鉄線的なものを両端に並べた。

もしかしたら両サイドから人が来るかもしれないからな。

もっとミリタリー系の情報集めておけばよかったと少し後悔した。



▼△▲▽▲▽▲


「なぁ、由紀さんや。」


「んー?なに?」


「ちょっとした降りてくるわ。」


「はぁ?!」


なに考えるのこいつ!と言わんばかりに由紀が詰め寄る。


「どうしたのさ!」


「い、いや、少し材料がほしくて、下のチャリから拝借しようかと……」


「お兄ちゃんさ、街がゾンビだらけになってノリノリなのはわかるけど…」


「ち、違うぞ!これも来たら日のためにだな!!」


「どんな日よ……」


この1ヶ月でどれくらい備えられるかが鍵なんですよ由紀さん!

なんとか由紀の説得をして、許可が降りた。


「作戦はこうだ!

ベランダから隣のマンションの車庫に向けて防犯ブザーを投げ込み奴らの注意を引く。その間に反対の玄関から工具とロープをもって真下の駐輪場に回り込む。」


「それ、上手く行くの?」


「お兄ちゃんに任せなさい!運動神経は抜群に悪いけど、こう言う作戦考えるのは好きだからよくやってるしな!」


「その自信はどこからくるんだか…」



早朝。おそらくご近所さんも寝て居るだろう時間に作戦を開始した。

由紀の提案により、目覚まし時計を投げ込むことにした。まぁブザーも使い切りだしね。

由紀が上から周りを確認して俺はロープで下に降りて自転車のスポークやら、なにやらをペンチで切って当てめて行く。


「お兄ちゃん!一体近づいてきてる!!」


「おわっ!!」


振り向くとそこにはこの間襲われていたおっさんが無残な姿に成り果てて走ってこちらにやってきていた。


「あ゛…あ゛ぁぁぁ!!」



「はやっ!!由紀!ロープ持ってろ!!」


「大丈夫?!」


「多分!!」


木刀で頭を叩きもう片手に保つ菜切包丁で数度首を叩き切断する。

気がつくと駐車場に集まっていた集団がこちらへ少しづつ向かってき始めていた。


「ロープ抑えてろよー!」


「お兄ちゃん重いぃぃぃぃ!!痩せろデブ!!」


「一緒に持ってるこれが重いだけだ!!」


2人して息を切らして玄関前で座り込んでいると由紀が急に笑い始めた。


「ぷっ…ふふふふ!あっははははは!」


「どうした、壊れたか。」


「だってさ!すっごい怖かったけどハラハラしたしドキドキしたけどさ、お兄ちゃん生きてるし、そりゃ心配もしたけどね?安心したら面白くなっちゃって」


「…そうかよ」


流石、小野崎家一のパワフルガール。あんなに警戒していたはずなのにすごい気持ちの切り替わりようだなと、由紀の調子が戻ったように思えて少しホッとしてしまった。


「ところでこれでなに作るの?」


「ウチに砥石あるし、それで先端研いでさ、弓とかにできないかなーって。」


「お兄ちゃんさ、部屋の武器といいなんでそんな知識だけは豊富なの…」


「愛ゆえに!!」


気づくと由紀は先に家に戻ってしまっていた。俺も少し悲しいようななんとも言えない気持ちで家に戻った。



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