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次の日、お琴の稽古があり、花に叱られてばかりいた。つまらないので、花にイタズラしてやろうと思っていた。
(今日は、どんなことをしようかしら?)
ウキウキして、森に出かけた。昨日、妖精がいた木の下にも向かった。
美しい金の髪の毛を思い出して、惚けていた。
(ステキだった)
ただ、美しいと、あの男の子の事を知りたいとそう思っていた。
しばらく時間が経ち、川の近くにカエルがいたので、袖の中へ入れた。帰ろうとして、城を見た所。
(! 燃えている)
城がたくさんの煙に包まれ、赤い炎を上げている。
(お父様、お母様、そして、花、みんな無事だろうか?)
夏菜は、城まで走った。
〇 ◎ 〇
城に着いて、辺りを見回すと、知らないおじさんが、甲冑を着て、並んでいるではないか。
「花革国の城を打ち取りました」
「あなた達、だれよ、私の城を燃やしたの?」
「誰だお前」
それは、こっちが聞きたかった。
「神月国の者だ。名を名乗れ」
「月島夏菜、花革国の姫よ」
お前達が憎いと、顔に出して、力強くそう言った。
「そうか、全員死んだと思ったが、生きていたのか」
(私も、殺されるの?)
「まあ、生き残ったのなら、わが国で拾ってやろうではないか、まだ、小さい女の子みたいだしな」
武士は、さすがに子供を切るのは、忍びないと思ったらしい。
「輝希国と手を組もうとするからこうなったんだ」
「あの、金髪坊ちゃんとな」
(金髪!)
その時、夏菜は、頭の中で、あの金髪の男の子が、父も母も殺すように、言ったのかもしれないと思った。
(あんなにきれいな髪だったのに……)
ふつふつと怒りが湧き上がってくる。
(金髪の人間は、もう二度と信じない)
強くそう思った。
三日後、父と母の遺体が見つかり、埋葬された。夏菜は、神月国の家臣の子供として、引き取られた。大きくなるまでは、家の手伝いをして、暮らすことになった。