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そうしているうちに、祝言の日取りが決まった。
二日後、城主の輝太郎も帰って来ていた。
「夏菜ちゃんと言う子は、どんな子かね~」
「アドルフ様の事を差別しなかったいい子らしいですよ」
「会ってみたいな」
「輝助様の奥方も懐妊なさりましたものね」
「それは、急がなくてはな」
輝太郎が豪快に笑った。
「夏菜ちゃんって、もしかして、アドルフの初恋の子なんじゃないか? 名前が同じじゃないか」
「そうなんですか、自分、アドルフ様とあんまり話さないもので知らなかったです」
「それは、アドルフが信頼のおける人物にしか話さないからだと思うぞ」
輝太郎は、城の中へ入って行った。
一方街では、アドルフと夏菜と遊んでいた子供達が、食い入るように瓦版を見ていた。
「アドルフって、あのアドルフ?」
「この前連れて来ていた姉ちゃんと結婚するんだ」
「おめでたいな」
子供達は、口々に喜びを表現した。
〇 ◎ 〇
そんな時、夏菜は、白無垢に着がえる前だった。
「今日の料理の順番は、ですね」
「夏菜さん、祝言の日まで働かないで下さいよ、準備は、私達がちゃんとやりますから、心配しないでください」
桃と宮に取り押さえられている途中、輝太郎が帰って来た。
「おう、働いておるな、夏菜ちゃんはおるか?」
「え、ええ」
桃は、夏菜の色々な所を結んで働いている姿を見せるべきか悩んだ。
「輝太郎様~」
夏菜は、お構いなしに返事をしてしまった。
「これは、元気なお嬢さんだね」
「えっ……」
夏菜は、急に我に返った。今の姿で輝太郎と会うのは、失礼に値する事だと思い、慌てだした。
「あ、あの~、すみません」
「何を謝っている」
「だって、このような姿で城主と会うなんて~」
「飾らない姿の方が、本心が見える物だ。夏菜ちゃんは、アドルフにピッタリな女の子の様だね」
「そうですか」
「私が保障しよう、だけどね、早く着替えないと、祝言に遅れちゃうからね」
「はい」
夏菜は、勢いよく返事して、自室へ向かった。
「アドルフの選んだ嫁じゃな」
輝太郎は笑っていた。
〇 ◎ 〇
「夏菜さん、動かないでください」
白無垢を着せる桃と宮は、一所懸命に着せようとして、手こずっていた。
「えっと、こうして、こうして?」
「そっちをこうするのよ」
結局、夏菜が仕切っていた。明姫の結婚の時に着せるために一応勉強しておいたので、夏菜は、完璧な指示を出した。
「いいですか、おしとやかにしてくださいね」
「わかっているわ」
夏菜は、気合を入れた。




