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夏菜は、すぐに明姫の元へ向かった。
「明姫、求婚されました」
「やっぱり、煮物のおかげよ、おいしかったのですよ、また作ってくださいね」
「ええ、それは、もちろん作りますよ……って、聞いていた? 私、結婚することになったのよ」
「よかったわね、夏菜なら、ステキな家庭を作れると思うわ」
「ありがとう」
明姫と手と手をつないで、笑顔を交わした。
〇 ◎ 〇
その日、明姫とではなく、自室で眠った。
夢の中で、琴を弾く明姫が見えた。会場は、宴の様に盛り上がっており、夏菜は白無垢を着ている。
(祝言?)
そこで、目が覚めた。すっかり朝になっていた。
〇 ◎ 〇
朝一で、明姫の元へ向かった。
「明姫、祝言で琴を弾いてくださいませんか?」
「琴? でも、人前に出るのは、まだ……」
きつね騒動のあった後、明姫は、まだ、城では良く思われていない、だから人前で琴を弾くのは賭けだった。
(もし、弱い明姫に戻ってしまったら、私のせいだ)
しかし、もし、成功したら、明姫の成長もあるが、城内での印象もかなり良くなるだろうと思っていた。
(どうなるかしら)
「と、とにかく練習しましょう」
「……」
明姫は、乗り気じゃ無いようだ。
「明姫、あなたは、琴が上手でしょう、自信を持って」
「でも……」
明姫は、暗い表情でうつむく。
「明姫、きつねとまだ、しっかりお別れできていないのね」
「そんなことない」
「でも、本当は、こういう時、きつねだったら、堂々としてうまくやると思っているのでしょう?」
「!」
図星を付かれた顔をした。
「明姫は、きつねがいなくなったって、すごいって所を見せてやりましょうよ」
「できない」
「なんで?」
「私は、夏菜みたいに強くない」
そう言われると、食い下がるしかなかった。
「明姫、でも、いつかは、自分の足で立ってください」
夏菜は、そう言って、部屋を出た。すると、テンシャンテンコロテンシャンと明姫が弾いているのか、琴の音がした。
(明姫!)
明姫は、半歩だけ前に進んだ。
(祝言の後の宴で弾いてくれるかもしれないわね)
「明姫~!」
「夏菜、私、がんばってみるよ」
「うん」
それから、明姫と、琴の練習をひたすらした。きつねの時のような簡単な練習では、ぼろが出てしまうので、念入りに。
コロテンシャンシャンと弾く。
夏菜もコロテンシャンシャンと弾き返す。とても楽しかった。




