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プチプリンセスの恋  作者: 花見さくら
アドルフの初恋
17/29

 次の日、アドルフに会いに行くと、アドルフは、お腹を空かせていた。

「朝ごはんは、俺の分無いんだってさ」

 アドルフは、苦笑いしてそう言った。

「私、お菓子を持っているわ、まんじゅうよ、明姫にもらったの」

「おお、助かる」

 あれから、アドルフは、いじめられている事を隠すのは、やめたようだ。

「顔、血が出ているわ」

「唇が切れたのか」

「薬、塗っておくわね」

 夏菜が、小箱を取り出して、薬を指で唇に塗ろうとしてた。その時、アドルフは、夏菜の指を吸った。

「えっ、えっ、体に悪いわよ」

「夏菜ちゃん、ありがとう」

 アドルフは、優しく笑った。

「いいですか、アドルフ、お薬と言うのは、傷口に塗る物でして……、確かに、唇に塗る物は、体の毒にはなりません、でも、吸うのはやめておいた方が良いと思います」

「ふ~ん、夏菜ちゃんは、真面目だね、男が女の子の指を吸う理由なんて一つなのに」

「言わないでください、恥ずかしいです」

 夏菜は、ゆでダコのように赤くなった。

 アドルフの部屋から帰る途中、夏菜は、誰かに捕まった。

「きゃっ」

「嬢ちゃん、あのアドルフの恋人だったとはね」

「離してください」

 よく見ると、この前の三人組だった。三人共ちょんまげをしていて、同じ顔に見えるが少し違う。

「アドルフを呼べ、この子の命が惜しければ、そうだな~国に帰れとでも書いておけばいいんじゃないか」

「何を言っているの、アドルフの国は、この国でしょう」

「お嬢ちゃん、あんな、金髪が同じ国の人間なわけあるか」

(ひどい)

 夏菜は、腕を縛られ、足も動かない様に縛られていた。口には、猿ぐつわをされて、う~う~としか声が出ない

「アドルフは、来るかね?」

 一時間しても、アドルフがくる気配がない。

「こいつ、もしかして、遊びで釣った女だったんでしょうか?」

「……そんなはずはない」

「外国人ならではの、ポエムとか言う奴で落としたんじゃないですか」

「そうかもな」

 そこにアドルフが現れた。

「待たせたな」

「なぜ遅れた?」

「刀の手入れをしていてな」

 そう言って、アドルフは、刀を振りかざした。

「城内で、刀を使うのは、禁止されているだろ、どうしたんだ」

「輝太郎様に許可を取っていて遅れた」

「ま、待てよ、それって、輝太郎様に俺達の事を話したんじゃないだろうな?」

「三人の名前、所属、部隊、全部話したさ」

 三人の男の顔から滝のような汗が流れた。

「おい、俺達、抹殺されるぞ、アドルフは、輝助様よりも輝太郎様に溺愛されているらしいからな」

「逃げるぞ!」

「「おおう」」

 三人がいなくなった途端、アドルフは、力が抜けたようにしゃがみこんだ。

「ふ~、何とかうまく行った」

 夏菜を縛っている縄をほどき、猿ぐつわを外した。

「大丈夫」

「うん、大丈夫です。でも、あれ、本当ですか? 輝太郎様は、遠くに出かけていて、滅多に帰らないのでしょう」

「ああ、うそ、言ってみただけ」

 良く考えると、輝太郎様が帰ってくるはずはないのだ。だから、夏菜は、怪しいと思っていた。

「一時間待てば、あいつらの頭も正常じゃなくなると思って、遅く行ったんだよ」

「アドルフは、よく頭が回りますね、まさか、輝太郎様の名前を出すとは……」

「この作戦が、失敗したら、殺す気だった」

「うそつきですね。あの人達を殺す気なんてなかったくせに」

「いいや、気持ちの何%かは、殺す気だったよ」

 アドルフが冷たい顔でそう言った。

(本気だったんだ。アドルフがこんな顔するなんて)

「よりによって、夏菜ちゃんを攫うなんて……怖かったよね」

「ううん、アドルフの心配していた。あの人達、私を殺す気なんてなかったわ、アドルフを罠にかける事しか考えていなかったわ」

「そっか」

 アドルフは、優しく笑った。

 その後、あの三人は、輝助の手によって、仕事を首になった。それでも、まだ、アドルフは、時々、外人扱いされて苦しんでいた。

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