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プチプリンセスの恋  作者: 花見さくら
夏菜の明姫教育
13/29

 次の日、琴の練習を明姫としていた。

 トンカラテンテンテントンシャンと音がする。

「夏菜、そこ、間違えたでしょう?」

「わかりましたか?」

 二人で、和気あいあいと琴を弾いて、昼になっていた。

「昼食の、焼き鮭としば漬け、ご飯に味噌汁になりますよ」

 宮がそう言って、食事を置いて出て行った。

「怪し、きつねのうつし鏡の所がどうしても弾けないわ」

 明姫がそう言って、弾いてみせるが、様子を見ていると、指の動きも弾く動きも合っていた。まるで、途中の二つの音が、出ないようになっているかのように。

「失礼します。明姫」

 夏菜が、同じ曲を弾くと、また、二つの音が鳴らない。

(?)

 単体でその音を鳴らすと、テンテンと音が鳴った。

「壊れているわけでは、なさそうね」

「そうですね」

 しばらく二人で首を傾げていた。

 明姫は、その後、舞の師匠と練習があると言っていなくなった。一人、部屋で、琴をしまっていた。

「夏菜さん、いつまでも客間じゃ不便でしょう、そろそろ、部屋がいると思いまして、準備しました」

 宮と桃がそう言って、四階の部屋へ案内してくれた。畳は、緑、六畳の部屋だった。掛け軸は、気分で選ぶように、何枚も入っていた。花もきれいに飾られている。

「部屋は、夏菜さんの自由に使ってください。明姫に頼まれたので、きれいに掃除もしておきましたから」

(明姫が私のために、準備してくれたんだ)

 少し感動した。明姫は、明姫の事で、精一杯そうだと思っていたから。

「一応なのだけど、琴の点検をお願いできないかしら? 時々、音が消えるの、明姫と私の琴だけ」

「わかりました」

 宮は、そう言って琴を桃と運んで行った。琴は大きいので、一人で二つは運べないのだ。だから、明姫と琴をするときは、よく、近くにいる、武士の方に手伝ってもらっている。

 舞の練習から、明姫が戻って来たので、普段着に着がえさせていると。

「琴、点検に出したの?」

「ええ」

「そう、何でもないとは思うけどね」

「何だったのでしょうね」

 夏菜は、帯をぎゅっと締めてそう言ったので、妙に力の入った言い方になってしまったが、気にしなかった。


    〇 ◎ 〇


 その日、夕方、アドルフと庭で、おまんじゅうを食べながら夕日を見た。

「輝希城にも慣れた?」

 アドルフは心配そうに、夏菜に声をかけた。

「まあまあ、慣れたわ」

 おまんじゅうを口に放り込んだ。風が吹いて、草木が揺れている。

「夏菜ちゃんは、いい子だよね」

「えっ?」

 アドルフは、夏菜の頭を優しくなでた。

「む~、私の背が低い事が、面白いのでしょう、私だって、普通くらいは、背が伸びると思っていたのですよ」

「いやいや、背が低くて悪いなんて言って無いでしょう?」

「でも、背があと、五センチは大きければよかったと思います」

「夏菜ちゃんは、小さい方が良いよ、だって、持ち上げやすい物」

 そう言って、アドルフは、夏菜を持ち上げた。

「急にどうしたの?」

「こうすれば、少し高くなったでしょ」

「高い高いじゃないのですから、おやめください」

(アドルフの顔が近いよ~)

 ゆっくり降ろされて、廊下に立つとすっとした。

(うん、私は、きっと、小さくてもいいのよね? アドルフが、良いって言ってくれるんだから)

 夏菜は、開き直って部屋に戻った。

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