答えと不安
『なんだか都合のいいところだけ頼ってるようで申し訳ないんだけど・・・・息子たちをそのままにしておいたらそれこそお金を水のように使うと思うの、
この機会に・・どうかな、仲良くなってみるっていうのは』
ええと・・・。
断る理由を、藍子さんには言えないよな・・・。いうとしても、こんな電話じゃなくてきちんと会って話さなくちゃいけない内容だし・・・どうしよう。
こんな風な時間にわざわざ私の携帯に電話してくること自体、緊急の出来事なんだろうし、あれだけ息子はやめておいた方がいい、って言ってた藍子さんが頼ってくるくらいなんだから本当に頼る伝手がなくて困ってて、最終手段なんだろう。
私のことを気遣って、心配してくれているのがすごくわかった。
「―――はい、大丈夫ですよ?」
家族なんだから、当然だ。
頼ってくれて、嬉しい。私も、忙しい藍子さんたちの役に立てることがあるなら喜んでやる。2人にはいつもお世話になってて、ちょっとでも独り立ちする前に恩返しできればって思ってたから。
家から出たらせめて仕送りとかしてもらわない程度に自立して、ちょっとずつでもお金送れればなんて思ってたけど、それでもやっぱりここにいるうちにできることはやってあげたい。離れたら、できないことも増えると思う。
『、
ほんとうに?
いいの?』
「はい、私は全然。
それに、結局家族になって1年も経つのにまだ兄弟の方たちと会ったことがなくて兄弟なんだから、って思ってたところだったんです。
家族なんですし、全然、気にしないでください。
その代り、私も困ったことがあったら藍子さんのこと、頼りますから」
『雅ちゃんは本当に優しい子ね・・・・・・
助かる・・・。
そうね、
・・どんどん、私のこと頼ってね。
兄弟たち、前にも話した通りすごく自分勝手な人たちだから・・・なんでも相談してくれていいのよ』
「ふふっ、はい」
『じゃあ、必要なことはメールしておくね、本当にごめんね、
それから、ありがとう。
できれば、明日からお願いしたいんだ』
「え、明日ですか?
ええと・・・あぁ、大丈夫です、
わかりました」
明日は神社に行こうって思ってたけど、バイトはないし、問題はない。
それに・・この話だと、私、移り住むことになるんじゃないのかな。
『本当に急でごめんね、また、電話させてもらうね』
「いえ・・こちらこそ、ありがとうございました、
じゃあ・・失礼します」
・・・・うーん。
藍子さんの気持ちがわかってしまったから、状況も状況だったし、口頭で承諾してしまったけど・・・心配だな・・・。
急だし、どんな人たちかもわからないし・・・。
あ、お父さんに電話しなくちゃ・・・。
改めて玄関に戻り、靴をそろえて部屋に戻って荷物を置く。