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キスさせてくれませんか・・・? お兄ちゃん  作者: 赤屋 颯妃
第1話 巡り合わせ
5/17

雅の日常―いろんな人との交流


「いってきます」


小さくそう言ってから扉を閉めて家を出る。

うちはオートロックなので鍵をわざわざする必要はない。

エレベーターに乗ってエントランスに降り、斜め掛けのバッグをかけなおして徒歩で3分くらいのところにあるお弁当屋さんへ向かった。


おかんの味を売りにしてる、地元のお弁当屋さんという感じのお弁当屋さんで、チェーン展開しているところに比べたら大したことないように見えるかもしれないけど、その分ひと手間ひと手間かけて作ってるし、手間がかかっているのに良心的な値段で、バランスもすごく考えられている。

レトルトとかほぼなくて、すごく手間がかかっているのだ。


マンションから住宅街を抜け、色々な飲食店のある遊歩道のようなとおりにそれはある。

客層は、会社員のお父さんから、お弁当作りに忙しいお母さん、それから近くの会社のOLさんとか、会社員の人とか。最近は大学生も買いに来てくれたりしている。

私は、もちろん人とかかわるのをなるべく避けなくちゃいけないので中でのお弁当を詰める作業がほとんどで、幼い頃から家事をやってた影響でこの年齢の割には料理ができるのね頼りにしているわ、とそのお店のおばさんには言われている。

最初は接客をしてほしいって言われていたんだけど、事情は言えなかったもののきちんと話したらわかってくれて本当にいい人だ。


「おはようございます、今日もよろしくお願いします」


店と店の間にある路地の裏口から入り、挨拶をしてロッカーに荷物を置いた。


「おはよ~よろしく~」


お弁当の具材を作るのは、主におばさんとその旦那さんで経営者のおじさん、それからベテランの近くに住む主婦の人で、朝早くからやったり、夜遅く閉店して私が帰ったあとにやったりしていて、私の主な仕事はお弁当を詰め、伝票を確認したり、洗い物をしたりすること。あと、電話での注文の応答。

たまに足りなくなったおかずを即席で作ったりするけど、そういうのだってすぐにただのバイトの私が作っても味が変わらないようなほんの小さなもので、色々味にこだわりがあって特色のあるうちのお店は、そういうものはわざわざ手間をかけて前の日に作ったりしていて量とかも考えてある。もしなくなったら、私じゃなくてわざわざおばさんが作る。


「はい」


手を洗ってからアルコール消毒をして、エプロンをつけて、マスク、三角巾をする。

こういうことは、チェーン店とかじゃなくてもやっぱりきちんとしないといけない。

時刻はまだ5時半。

開店するまで30分はあるけど、やることはたくさんあるし、何よりどれだけ素早く動いても朝の30分っていうのは短いものだ。

私も、決してのんびりできたわけじゃないけど、起きて30分しか経っていないんだと思うと時間の感覚って不思議なものだなぁと思う。















「それじゃあ、今日はこれで失礼します、また明後日」

「はーい、気をつけて帰るのよ~」

「ありがとうございます」


昼の12時を回り、店を出てマンションから遠ざかるように道を歩いていく。


(・・ふぁ・・・・・・んん・・・おはよぅございます・・・)


ようやく峰藤が起きたみたいだ。昨日はもう少し早くに起きていたけれど、今日は少し遅い。


「おはよう」


人通りが少ないので小さくつぶやくようにして返事をし、2分ほど歩いて神社に到着した。鳥居をくぐり、みくじなどを売る建物の裏口から入る。


「おはよー」

「あぁ、雅、おはよう」


連絡はしていなかったが、連絡することの方が珍しくほぼ毎日ここに来ているので特に驚くこともなくおじいちゃんが振り返った。どうやらほうきを持っているところから見て、今から外を掃除しにいくらしい。


「掃除をしてくるから、こちらを頼んだぞ」


「うん」


頷いて奥の巫女服が置いてある部屋に移動し、荷物をロッカーにしまい、着替える。


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