先行きの不安を感じるデリバリー
「・・・・・」
なんだったんだろう・・・・。
(ほらな、やっぱりろくなものじゃなかった)
(なんだあの態度は・・・。
25ってことは、フリーターか?)
(しかも、こんな時間まであんな格好ということは、親のすねをかじって廃人と化しているではないか)
は・・廃人って・・・。
(さっきも雅のこと召使って言ってたけど、本当にそういう扱いなんじゃないの?
うわ、なんか言ったらさらにむかついてきたー)
(・・・・っ・・・大丈夫ですか、雅さん・・・)
「いや、・・私は全然平気だけど・・・」
とにかく、言われなくてもやるつもりだったし、さっさと荷物を置いて、片づけてちゃおうっと。
(ちっ・・・胸糞がわりぃぜ。
おい、雅、俺と代われ、あいつの目が覚めるまで殴り倒してやる!)
「い、いやいや・・・!!
ショートがそんなことしたら死んじゃうから・・・!」
ええと、この屋敷内の地図地図っと・・・。
「・・よし、・・・」
靴は揃え終わった、洗い物は食洗機に詰め終わった、ごみも全部ゴミ袋に入れた、必要なものは机の上に置いといて・・・。
って・・・あ、もう12時か、そういえば・・さっきめぐみさん昼はデリバリーって言ってたっけ・・・。
11時半ぴったりにメニュー表を持ってこいって言ってたけど・・メニュー表?
あ・・これかな。
固定電話の横にあるスペースにタウンページやら電話帳やらが置いてあり、そこにラミネートされて置いてあった。
うわ、ほかにもうどん、中華料理、高級フランス料理、ファストフードに・・どれだけあるんだろう。
さっき部屋に行ったときに、お手伝いさんの部屋の通帳を見たけど・・こんなもの毎日頼んでたらいくらお金があっても足りないよ・・。
お金の管理も任されちゃったし、今日は仕方がなくても毎日ってわけにはいかないよね・・・。
そのとき、だんだんだんと地響きみたいな足音が近づいてきてばんっと乱暴に扉が開いた。
「雅ちゃん?
お前、話聞いてなかった?」
お前って言われた・・・。
「・・・ええと・・・すみません、片づけに集中していたらこんな時間になっていて」
・・っていうか、なんで謝ってるんだろう?私。
「・・・っは・・・もういいよ役立たず」
・・・・・。
乱暴にひったくるようにメニュー表を奪われ、
「よーく見てね、これとこれ、あとこれ、頼んどいて」
と目を見開いて明らかに馬鹿にする手つきでメニュー表を指さしそう言って、またそれをぽいっと放り投げ、出て行ってしまった。
「・・・はぁっ・・・・」
これは・・・前途多難だ・・・・。