表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《獣人のこども》おねしょ敬太くんの大ぼうけん  作者: ケンタシノリ
第9章 敬太くん、獣岩城で最後の戦い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

99/115

その9

「おっとう、おっかあ……。今から助けに行くからな」


 敬太はこうつぶやきながら、獣岩城の入口の扉を開けようとします。しかし、何回開けようとしても扉はビクともしません。


「んぐぐぐぐぐぐぐっ! うぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐっ……」

「敬太くん、扉が開かないのかワン?」

「こ、こんなはずでは……。んぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐっ……」


 どんなに敬太が歯を食いしばって凄まじい力を入れても、城へ入るための扉は開かないままです。そんなとき、敬太たちの後ろから不気味で高らかに笑う獣人の声が聞こえてきました。


「ふはははは! 残念だったな!」

「獣人め! まだいたのか!」

「あんなザコばかりと思ったら大間違いだぜ!」


 敬太たちが向きを変えると、目の前には筋肉のついた大きな体つきの獣人が立っています。他の獣人と違って、左腰には何やら鍵らしきものがついています。


「あの入口はなあ、この鍵がなかったら絶対に開かないようになっているのさ」

「何だと!」

「そんなに通りたいのであれば、このおれを倒してから行くことだな」


 獣人は指を差すしぐさを見せながら、自信に満ちた声で敬太たちに向かって挑発しています。そんな獣人の態度に、敬太は拳を握りながら怒りに震えています。


「獣人め!」


 敬太は獣人の体に強く体当たりすると、怒りをぶつけようと拳で殴ったり足で強く蹴り上げたりしています。けれども、獣人はどんな攻撃を受けても全く動じるそぶりを見せません。


「どうした! おめえの力はそんなものか!」

「ぐぐぐぐぐぐ……」


 敬太は、自分を見下す言いぶりの獣人の姿に歯を食いしばりながらいら立ちを抑えようとします。そんな敬太に、獣人は不気味な笑みを浮かべながら攻撃を加えようとします。


「今度はこっちから行くぜ! うりゃあっ! うりゃあっ! うりゃあっ!」

「いてててっ……」


 獣人は小さい敬太の体にいきなり右足で蹴り上げると、その後も何度も強い蹴りを続けています。一方、敬太のほうもすぐさま反撃に転じようと必死になっています。


「ぐぐぐぐぐぐっ……。何度も同じ攻撃でやられるぼくじゃないぞ!」

「おのれ、このチビめ……」


 敬太は、強く蹴り上げようとした獣人の右足を両手でつかんで受け止めています。体があざだらけになっても、敬太は目の前の獣人を倒そうと再び立ち向かいます。


 そこへ、ワンべえが獣人と戦う敬太を手助けしようとやってきました。


「ぼくもいっしょに戦うワン!」

「ワンべえくん、本当に大丈夫なの?」

「敬太くんのためだったら、どんなことだってやってみせるワン!」


 敬太は、その百人力で獣人の大きな体を両手でつかんでいます。今までの獣人よりも重そうな体ですが、敬太は力こぶを入れながら図体の大きい敵を持ち上げました。


「んぐぐぐぐっ! んぐぐぐぐぐぐぐっ! これでどうだ!」

「ほほう、おれを持ち上げて何をするつもりか?」


 敬太に持ち上げられたにもかかわらず、獣人は平然とした表情を見せています。獣人の表情からは、自分が格上であることを不気味な笑みを浮かべながらにじませています。


 それでも、敬太は自分が得意とする投げ技で獣人を叩きつけようとします。その様子を感じ取ったワンべえは、少し離れたところで待ち構えることにしました。


「獣人め、これならどうだ! ええ~いっ! どりゃああっ!」


 敬太は、図体の大きい獣人を城壁に向かって大きく投げつけました。しかし、獣人にとってこのくらいのことは織り込み済みです。


「おめえの攻撃なんぞ、おれには通用しないぜ!」


 獣人は、城の壁にぶつかる直前に1回転しながら着地しました。どんな攻撃を受けても平然とする獣人ですが、ここで戦う相手は敬太だけではありません。


「い、いててててててて! よくもおれの太ももに噛みつきやがって!」

「絶対に放さないワン!」


 獣人は、ワンべえに左足を噛みつかれてかなり痛そうな様子です。何とかしてこの状況から脱しようとしますが、ワンべえは噛みついたまま放そうとはしません。


 ワンべえの活躍ぶりに、敬太も形勢逆転とばかりに獣人の後方から一気に攻撃を仕掛けていきます。


「え~いっ! え~いっ! とりゃあっ!」

「わわっ、うげげえええっ……」


 敬太は獣人の右横腹を左手でつかむと、すかさず自らの左足で相手の右足首を払いました。不意を突かれた獣人は、背中から雪面に強く打ちつけるように倒れてしまいました。


 そのはずみで空へ浮いたワンべえですが、敬太はすぐに両手で抱きかかえるように受け止めました。


「ワンべえくん、手助けしてくれてありがとう!」

「敬太くん、獣人が起き上がる前に急いで!」


 敬太はワンべえをそっと地面に座らせると、倒れ込んだままの獣人を倒すべくもうひと暴れします。一方、獣人のほうもそれを阻止しようと強烈な痛みを引きずりながらも起き上がろうとします。


「い、いててててっ……。あのガキめ……」


 そんな敵の反撃を食い止めようと、敬太は雪上から獣人の体の上に飛び乗りました。敬太はそこで何度もピョンピョンと繰り返すように飛び跳ねています。


「えいっ! えいっ! えいっ!」

「や、やめろ……。いてっ! いててててててっ……」

「まだまだ! えいっ! えいえいっ!」


 飛び跳ね攻撃に続いて、敬太は獣人のお腹の上に座って次なる攻撃を仕掛けます。敬太は両足を相手のお尻のところに固定してから、獣人の両脚太ももを上げました。


 そこから、敬太は獣人の体に近づけるように太ももを強く曲げていきます。


「ぐぐぐぐぐっ! えいっ! えいっ! えいっ!」

「い、いててっ……。いてええええええええええっ!」


 あまりの苦痛に顔をゆがめる獣人を横目に、敬太はお腹に力を入れてさらなる攻撃を加えていきます。


「まだまだいくぞ! えいっ! え~いっ! プウウウウウウウウウウウウッ!」

「うっ! おれの前でくさいおならを……」


 敬太は、獣人の顔に向かってでっかいおならを食らわせました。ただでさえ身動きが取れない獣人にとって、敬太のおなら攻撃は強烈でたまらないものです。


 獣人の左腰には鍵らしきものがついています。敬太は左へ振り向くと、その鍵を引っ張るように取り出しました。


 獣岩城の入口を開ける鍵であると確信すると、敬太はその鍵をワンべえのいる入口のほうへ投げました。


「ワンべえくん、ちゃんと受け取って!」


 敬太の投げた鍵は、入口の手前から飛び上がったワンべえが見事に口にくわえて受け取りました。


 この様子を見た敬太は、獣人にとどめを刺そうと大きな図体を持ち上げようとします。


「んぐぐぐぐぐっ、んぐぐぐぐぐぐぐっ!」

「こ、ここから降ろして……」


 力ない声で訴えかける獣人ですが、その声が敬太の耳に入ることはありません。大きな敵を持ち上げると、敬太はその獣人を何度もポンポンと上げていきます。


「わわわわっ! や、やめてくれ……」

「獣人め、これでとどめだ!」


 敬太は、落下してきた獣人の体に力こぶを入れて放った強烈なげんこつを直接命中させました。あまりにもすさまじい一撃に、獣人は深い堀の中に叩きこまれるとそのまま姿を消していきました。


「敬太くん、早く鍵を開けてワン!」


 ワンべえの呼び声を聞いて、敬太はすぐに城の入口へ行きました。敬太は獣人が持っていた鍵を手にすると、鍵穴の中にそれを差し込みました。


「ワンべえくん、入口が開いたよ! さあ、城の中へ入って行くぞ!」


 敬太とワンべえは、獣岩城の入口から足を踏み入れることにしました。さらに強い敵がこの先に待ち構えていますが、お父さんとお母さんに会いたいという敬太の気持ちが変わることはありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ