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《獣人のこども》おねしょ敬太くんの大ぼうけん  作者: ケンタシノリ
第8章 敬太くんと獣人の赤ちゃん

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その13

「うう~ん……。ここはどこなの……」

「ふはははは! ようやく気づいたのか。おめえがどんな状況になっているか、自分の目で確かめることだな」


 不気味さ満点の獣人の言葉に、敬太はもうろうとしながらも目を開けようとします。そこで敬太が目にしたのは、まるで地獄の中と見違うほどの恐ろしい光景です。


「獣人め! ぼくをどうするつもりだ!」

「決まっているだろ! おめえをこれから徹底的に始末するためさ」


 敬太は、両手を上に吊るされるように縛られています。そればかりか、両足のほうも縛られているので容易に脱出することはできません。


 しかも、敬太の周りを見回すと火山の溶岩が次々と噴出しています。後方には細い逃げ道がありますが、そこには獣人たちが道を塞いでいます。


「それにしても、これだけ人質をいるとは思わなかったぜ」

「あれだけ泣き叫べば泣き叫ぶほど、おれたちにとっては楽しみだなあ」


 獣人たちのそばには、おひさやげん吉に子供たちを合わせた10人が縄で縛られています。子供たちは、獣人たちのあまりの恐ろしさに大声で泣きわめいています。


「よくも、ぼくの大好きなおっかあと子供たちにひどいことをしやがって……」


 おひさや子供たちがひどい目に遭っているのを見て、敬太は獣人たちへの怒りをあらわにしています。しかし、そんな敬太の訴えにも獣人たちは耳を傾けようとしません。


「おめえがどういう立場なのか、まだ分からんようだな」

「これは誰の布団なのか、おめえだったら分かるよな。ふはははは!」


 獣人たちが手にしているのは、敬太がやってしまったおねしょのお布団です。でも、大きく描かれたその証拠は元気な子供である立派なシンボルでもあります。


「ぼくは、いつもこんなにでっかいおねしょをみんなに見せているぞ!」

「ふはははは! こんなに恥ずかしいのを堂々と見せるとは、おめえも本当にバカなやつだなあ」


 獣人たちは、おねしょしても平然としている敬太の姿に大笑いしています。普通の子供なら、このような大失敗の証拠を突きつけられて意気消沈するはずです。


 そのとき、別の獣人が木の板を持って敬太の後ろへきました。これから行うのは、おねしょをした敬太に対するお仕置きです。


「本当に大失敗したことを分からせるためには、体で覚えてもらうしかないな」


 獣人は間髪入れずに、敬太のお尻を強く叩き始めました。その叩き方は、一目で見ても尋常とは言えないものです。


「バシンッ! バシンッ! バシンバシンバシンッ!」

「うぐぐぐぐっ……」

「バシンッ! バシバシンッ! バシバシンッ! バシバシバシンッ!」


 獣人たちに捕まった子供たちは、お仕置きを受けている敬太の姿を心配そうに見ています。敬太へのあまりの仕打ちに、大声で泣き出した子供も少なくありません。


 そんな子供たちの様子に、獣人たちはせせら笑いながら眺めています。


「あれだけ大声で泣き続けるのを見るのが、おれたちにとって楽しみでたまらないなあ」

「あのチビが地獄へ落ちるまで、ここで高みの見物をするか。ふはははは!」


 その間も、獣人は敬太へのお仕置きを続けています。敬太のお尻が腫れあがっても、決して手を緩めることはありません。


「バシンッ! バシンッ! バシンバシンッ! バシンバシンバシンッ!」

「おめえがおねしょの大失敗をしなかったら、こんな目に遭うことはなかっただろうに」

「お尻を強く叩かれたって、ぼくは絶対に負けないもん!」


 敬太は獣人からのお仕置きを何十回も受けていますが、痛がる表情を決して見せることはありません。


「ちっ! それなら、お尻だけでなく背中も叩かないといけないな」

「バシンッ! バシンッ! バシンバシンッ! バシイイイインッ!」

「んぐぐっ、んぐぐぐぐぐぐっ……」


 相変わらず繰り出す獣人のお仕置きですが、敬太は一切表情を変えずにガマンをし続けています。ここで少しでも弱みを見せたら、獣人からつけ込まれる可能性が大きくなるからです。


「くそっ! あれだけお仕置きを加えているにもかかわらず、痛いとも苦しいとも言わないとは……」


 何十回叩いても音を上げない敬太に、獣人のほうも次第にあせってきました。そんな状況の中で、敬太は絶好のタイミングを見計らっています。


「獣人め、これでどうだ! ププウウウウウウウウウウウ~ッ!」

「うっ! おれの顔面に特大のおならをするとは……」


 獣人は、敬太のでっかいおならを食らって膝から崩れ落ちてしまいました。これを見た敬太は、自分の力で振り子のように大きく揺らし始めました。両手両足を縛られた状態であっても、敬太の攻撃が封じられたわけではありません。


「獣人め、行くぞ! ええ~いっ、それっ!」

「うわわっ! うわああああああああああ~っ!」


 敬太は振り子で勢いをつけると、獣人を強く蹴り飛ばしました。突然の出来事に、獣人はなすすべもなく火山の溶岩の中へ落下してしまいました。


「あ、あのチビめ……。う、うわわわっ……」


 獣人は最後の力を振り絞ろうと試みましたが、最後は力尽きて溶岩に飲み込まれることになりました。


 一方、敬太のほうも振り子の大きな勢いに止まる気配がありません。しかし、これは敬太が脱出するための大きなチャンスです。


「手足を縛られたって、ぼくは外すことくらいどうってことないぞ!」


 何度も振り子で大きく揺らされていくうちに、上に吊るされた縄が次第にちぎれそうになってきました。そして、敬太が再び振り子で上まで達したときのことです。


「えいえいっ! えいえいえ~いっ!」


 敬太は、空中で手足に縛られていた縄を自らの力で引きちぎりました。そこから、敬太はおひさや子供たちを人質に取っている獣人たちに向かって行きます。


「先ほどまで身動きができなかったはずなのに……。な、なぜだ……」

「よくもやってくれたな! 獣人め、今度はこっちからお返しをするぞ!」

「お、おいおい! こっちにくるな! くるな!」


 空に浮いた敬太は、急降下しながら獣人たちへ強烈な蹴りを食らわせました。いきなりの反転攻勢に、獣人たちは敬太の攻撃から身をかわすことができません。


「どうだ! ぼくの蹴りの威力はこんなものではないぞ!」


 敬太の攻撃は、まだまだ止まりそうにありません。地面に倒れ込んだ獣人たちの上へ乗ると、そこから足をピョンピョンと飛び跳ねています。


「いててっ! おれの上で何をしやがる……。いてててっ! いててててててっ!」

「だって、ここで飛んだり跳ねたりするのが楽しいんだもん! えいっ! ええいっ!」


 敬太はかわいい笑顔を見せながらも、獣人2人への攻撃を交互に繰り返しています。そして、身動きできなくなった敵を自らの力で真上へ持ち上げました。


「お、おれを持ち上げて……。何をするつもり……」

「んぐぐぐぐっ! これでどうだ! えええ~いっ!」

「わわわわわっ! よくも溶岩の中にぶち込みやがって……」


 敬太は、持ち上げた獣人を火山の溶岩へ向かって直接投げ込みました。すると、先ほどまで倒れていたはずの別の獣人が敬太の後ろから殴りつけようと拳を振り下ろしました。


 そんな敵の気配にも、敬太は気を緩めることはありません。敬太は振り向きざまに獣人の拳を両手でつかむと、力こぶを入れて両腕の力で後方へ叩きつけました。


「隙だらけと思ったのに……。いててっ! いてててててててっ……」

「お相撲の稽古をしているから、力技だったら絶対に負けないぞ! とりゃああっ!」


 あまりの痛さで身動きができない獣人ですが、敬太による攻撃はまだ終わりません。敬太は、獣人の首を両足で交差して強く絞めようとします。


「うぐぐぐっ……。本当に苦しい……」

「まだまだ行くぞ! えいっ! えいえいっ……。ギュルギュルゴロゴロゴロッ……」


 優勢に戦いを進める敬太ですが、その途中で急にお腹が痛くなってきました。しかし、それは同時に獣人へのとどめを刺すための大きなチャンスでもあります。


「獣人め、これでどうだ! プウウウウッ! プウウウウウウウウウ~ッ!」

「うっ! く、くさい……。うぐっ、うぐぐぐっ……」


 敬太が放った大きなおならの2連発で、獣人はその場で気絶して身動きができなくなりました。これを見た敬太は、急いでおひさや子供たちを助けることにしました。


「みんな! 早くここから逃げて!」

「逃げてって言われても……。やっぱり、敬太を置いて逃げることなんかできないよ!」

「敬太くんがそばにいないと、ぼくもさみしいよ……」


 子供たちは、敬太といっしょに村に戻りたがっています。それは、おひさも同じ気持ちです。


 でも、敬太としては子供たちをこれ以上危険な目に遭わせるわけにはいきません。何とか山の中から下りてほしいという願いも、みんなを守りたいという敬太の思いが込められています。


 そのとき、子供たちに向かっていきなり鎖が次々と飛んできました。


「早く逃げて! 早く下へ逃げて!」


 敬太は大声で叫びながら子供たちに伝えると、そのまま両手両足が鎖でからまってしまいました。


 その背後には、例の双子の獣人が鎖を持ちながら立ちはだかっています。


「結局、獣人のザコどもは敬太1人すら始末することができなかったということか」

「ぐはははは! そんなザコとは大違いということを、敬太にはこれからたっぷりと思い知らせてやるとするかな」


 双子の獣人たちの不気味な笑い声に、身を潜めているおひさや子供たちはその恐ろしさに震えています。そして、敬太は再び身動きができないことに歯を食いしばるしか他はありません。

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